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Twitter現代川柳アンソロ2~鑑賞~2

  • TLに流した、X(Twitter)現代川柳アンソロ2の感想 #ツイ川ア・ラ・モード をnoteにまとめ始めました。一部に加筆修正をしています。

  • 掲載は時系列でもページ順でもなく、加筆修正順のランダムになっております。

  • あと、その時の気分で、文体が「ですます調」「である調」「口語調」に変わるので、いろいろ、混じっています。読みにくいかと思いますが、いちいち直すと、またタイプミスとか増えそうなので統一しません。すみませんがご了承ください。

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虚無僧はおかどちがいを偲ばせる / 月波与生
@tukinamiyojyo

〇〇は~忍ばせるという構文での「虚無僧」は実にしっくりくるのですが、餡子(中七)部分の「おかどちがいを」で不思議なずり落し感が出ていて、にやにや笑ってしまいます。

めっそうもございませんが咲いている / 筒井祥文(セレクション柳人9 筒井祥文集p32)

恥ずかしいところにノブが付いている / きゅういち(晴 vol.3 p14)

と同質のにやにや感がw 真似できません。
スラッと詠んでいて羨ましいです!

月波与生さんは、樋口由紀子さんが代表・発行人の川柳誌「晴」に毎回句と時評や評論を寄稿されています。
とくに、晴3号の川合大祐論「川合大祐は何を実験しているのか」p24~は必読です。
下記のアドレスから是非読んでみてください。
      ↓

川柳作品も、今回のような軽妙な句も巧いのですが、骨太のハードボイルド風から、癒し系の柔らかい作風、主張しすぎない伝統寄りの私性が仄かに滲む抒情系作品など、与生さんの作品の幅の広さが凄いのでお勧めです。


「晴」5号より、
カメレオンが持ち歩く透明なボタン / 月波与生
気づかれてはならぬ明日祈る場所 /
子午線をゆっくり溶かすカプチーノ /
銃口と似た瞳孔の双生児 /
よしなしうたをおくアボカドに変えて /

などなど。


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一人ずつささくれた指見せなさい / 小沢史
@katakatahage

一人ずつ~〇〇~見せなさい、のフレーム構造に「ささくれた指」というエモい語を入れている?

エモさがベタっとし過ぎないように命令形を効かせてるのも、なんか熟練のハイテクっぽいオーラがw

#川柳EXPO 掲載句(p16~17)でも、

葱の無いひとは廊下に立ちなさい/小沢史
あかんべをすればこぼれてくる銀河/
姉の耳さんすうセットに紛れ込む/
蝶逃がす図書室奥の童話から/

サブレー・フロマージュをさっくり噛むような、それでいて、胸の奥をぎゅっと掴まれるような「遠い懐かしさ」を感じるエモさ使いが抜群。
このエモさを例えるならば「諦念と希望の汽水域に棲んでいる句群」とでもいえるだろうか。。。

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天かすを撒けば撒くほどすぺしうむ / おだかさなぎ
@spice16g

下五の「すぺしうむ」天かす光線で大笑いしてしました。楽しい句っていいですね♪

天空海(あくあ)っていうお相撲さんがいて、立ち合い前に大量の塩を撒くのも思い起こしましたw

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ふと轍 きみそれ隣の席のだよ / おかもとかも
@mosstya

遅れて着いたパーティー会場。案内された広いテーブル席に座る。皆、踊ったり話したりとバラバラに移動している。シャンパーニュを呑みながら、ふと見ると憧れの「希望の轍」が置いてあった。ぼくはそっとそれを懐へしまった。

広いテーブル席の対角線上の端で女性に言い寄っていた貧相な男がその時目ざとく僕に振り向いていった。「きみそれ隣の席のだよ」隣席?誰もいないじゃないか!だが振られたせいか陰険な眼で絡む男と揉めたくもなかった。懐へ手を入れかわりに「絶望の轍」を置いた。男は関心を失ったようだ。

絶望の轍は代わりの轍が手に入るまでは決して身を離れなかった。だが、僕は今夜、最も欲しかった轍を手に入れた。シャンパーニュを干し、パーティー会場を後にした。公園通りの満月を見上げると自然に口笛がでたのだった。以上、妄想読みでした(汗。

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いつまでもちくわ感覚では困る / 栫伸太郎
@skwakoi

わかるような気がするし、共感できそうなんだけど、明確に言語化できないですね~、ちくわ感覚!なんだろう?ちくわ感覚!穴があきっぱなしで約束破りが垂れ流しになるとか?面白くて不穏な句w

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完璧な円周率を持ち歩く / 下城 陽介
@nurudedede

掲句から、映画「レインマン」とか今スカパーでやっている医療ドラマ「グッド・ドクター」なんかを想起します。ギフテッドとかサヴァン症候群と呼ばれる、突出した才能をもった人。

才能は凄いのですが、それ上手く対応する環境が整わないと、世に埋もれたり、自分が傷ついたり、周りが傷ついたり。作中主体にとっても「完璧な円周率」を諳んじられる才能能を持ち歩くのは意外としんどいのかもしれません。知的な穿ちを感じる句です。

間違い電話に天皇が出る / スズキ皐月
@hyousyoku83

「天皇」の語を使った有名な句、

天皇家に差し出す良質の生殖器 / 渡辺隆夫『現代川柳の精鋭たち』北宋社 p334

が真っ先に浮かびますが、掲句は引用句と比べると詩情が軽快♪

隆夫さんの句は天皇家ご成婚の実話を詠んだ時事句。

それに対して、掲句はこんな場面があったらどうよ?的な設定句。その差が、ポエジーとして重くなりすぎない軽快さ、おかしみを生んでいるのかな~と♪

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姉の胚 いちめんの姉が墓地にある / 南雲ゆゆ
@nanyunyuyu

掲句、死と絡めている点や言葉の繋げ方の特異性から、石部明作品を想起させられます。

南雲ゆゆ 現代川柳 第一句集 224ページ、B6サイズ

初句集の題が『姉の胚』ということなので、ひとかたならぬ思い入れがある一句ではと。句集は、#川柳を見つけて 及び オンラインショップで販売予定 とのことなので、是非手に入れることをお勧めします。

一読、句から浮かぶイメージは70年代のプログレッシブ・ロックバンドのレコードジャケットやフライヤーなど。読み返す度にイメージが変わりそうな奥行きと風韻を感じます。

読者によって、万華鏡のように読みの印象が変わる作品ではないかと思います。

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二番目と言われてずれる薬指 / 成瀬悠
@naruse000yuu

現代川柳アンソロが第2号なので二が詠みこまれたような。もう一句も。企画者でもある成瀬さんの気合を感じます!第二夫人の立場だった、再婚だと知らなかったとかのずり落しも感じます。

成瀬句はパイ生地のように飛躍の発想が重ねられていて、簡単には読ませてもらえない句もあったりする。というような印象なのですが、掲句は伝統川柳よりの匂いもして、なんかとっつきやすい、軽快な面白さがある感じです♪ もちろん、成瀬さんも句集をだしているので、いろいろな作品を楽しめる事と思います。句集、お薦めです♪

川柳句集 序章あるいは序説もしくは序論


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