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炊きたてが、後ろめたい。その湯気に、米泥棒の気配が、入り込んでいるからです。時制には、昨日の鳥の、死骸のにおいが含まれていて、このカーディガンでは、他の惑星には逃げられない。幼い頃の、言い訳の温度が、まだ肌に直接、触れている。異性の喘息の発作に、しばらく見惚れていたことがある。

他人の、空耳を、あつめて より他人事の、生活をつくる
朝食に、自分の内の、他所を混ぜて
子どもに、出す
日記のような子どもは物語に、なりかける手前で
つじつまの、あわないことに妥協を、おぼえていくと
中心から、少しずれたところに 余白が、うまれて
他人の、輪郭とともに 新しい自分になる

言葉だけ、水鳥の形で歩いている。水鳥は、水中に拡散した光を啄んだ後、色彩をいくつか認めて三人称で視られることを、完成させていく。不意に、不意に、が水鳥の在り方のすべてになる。誰の言葉も借りずに、正確な罪の意識と、食欲の狭間で立ち止まりながら、言葉の私は、自分の身体を、待っている

時制が、ぼんやりしている
陽の、ひかりのなかの忘れる、の種を青空を、けずって、蒔く
等高線に、眼鏡を、置き忘れる
きっと誰かの、甥の、営為
忘れることを、ゆるす叔父が別のことで、軽蔑されるのを見せて
甘えることを、教えてくれた
ときどき、はみ出て、陽にあたり 忘れる、の種を、わざと、

腐乱する。他人事の風によって、季語になりかわる瞬間さえもいくつも通りすぎた。毛皮まで腐敗した動物の、胸骨のアーチをみたことがある。その骨と骨の隙間。綺麗事から先に、流れでた後だとわかる。いずれ残るのは鳥の、毛皮をひきむしった爪と嘴の痕。ここからわきだす他人の、想像の点描だけだ。

点描は、物語と双子だったが、小さな死を、繰り返す遊びを、好んだために、時間をたどることを、忘れることがある。一昨日が明日の、野焼きの、煙にまかれると、点描にはすぐ、火が燃え移りそうなので、物語が、段落をつれて、わざとらしく空間を、途切れさせるから行間は、酸欠で呼吸も苦しいのです。

点描の続きのような人が
文脈を跨いで、唐突を好む人と
それぞれの利き手の 甲の静脈の膨らみかたを見せあい
この血管でできた谷間に 水をためられるか、と
どの時系列にも存在しない遊びを
一つの点描として提案すると
行分けもしない一文のような
口調だったためにかえって 唐突に好まれた


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