Satoshi_Finance

典型的な米系大企業の日本支社ファイナンス部門に、20年以上勤めた元財務部長です。 日…

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典型的な米系大企業の日本支社ファイナンス部門に、20年以上勤めた元財務部長です。 日本企業の経理と米国企業のファイナンスの違いを説明します。また経理部門へのFP&Aの導入方法など、ご質問、ご相談、壁打ちなどお気軽に satoshisbiz@gmail.com へどうぞ!

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自己紹介

はじめまして。 そして、こんにちは。 noteでは、長年勤めた米系企業の財務部門で得た学びについて書いています。 私の過去の投稿を読まれて、「どんな人が書いてるんだ?」と思われた方もいらっしゃると思います。 なので、今日は簡単に自己紹介をさせてもらいますね。 note 名:Satoshi_Finance 経歴 高校は日本、東京 大学はイギリス、ロンドン 帰国後、日本のメーカーに就職 退職してアメリカにMBA留学 帰国後、米系企業の財務部門に転職 数々の失敗

    • 第十一話 米国資本主義を企業で体現するFP&Aに死角はないのか

      今までの投稿で、FP&Aが経理部門、および会社の経営全体にもたらすポジティブな効果ついて書いてきました。 ところで、FP&Aってそんなに万能だったっけ? 典型的な米系消費財企業の日本支社でファイナンスの仕事に20年以上携わっていましたが、確かに、FP&Aにより利益予測精度は高くなりました。目標の達成に向けて、事前にリスクを洗い出し、それらのリスクを手遅れになる前に摘むためのアクションを経営陣に提案し、承認されていました。しかし、常に長期的な企業価値の最大化や成長に繋がって

      • 第十話 FP&Aビジネスパートナーに求められる能力

        過去の投稿で、FP&Aビジネスパートナーの役割についていくつかお話ししてきました。彼らが担当事業部や経営陣をサポートする重要な役割を担っていることをご理解いただけたかと思います。 今日はもう一歩踏み込んで、FP&Aビジネスパートナーが求められる能力についてお話しします。 ファイナンスの専門家というと、どうしても会計知識やエクセルなどのハードスキル、すなわち技術的な能力に注意がいきがちです。実は、これらの能力はあくまでも「前提条件」です。 優れたビジネスパートナーになるに

        • 第九話 FP&Aが予算の最適配分を可能にする

          米系外資の会社だと、予算ってどうやって作ってるの? FP&Aについて話をしていると、素朴な疑問として、このような質問を受けます。核心を突いていますね。FP&Aがきちんと機能している企業ほど、予算作成も運用も効果的に行われ、限られた経営資源を最適活用しています。 今日は米国企業のFP&A部門における長年の経験をもとに、「予算作成」と「期中の運用」についてお話しします。 1.予算作成私が勤めていた米系消費財企業でも以前は、前年度予算と実績をもとに、今年度のビジネスの成長率を

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          第八話 FP&A部門が事業部のプロジェクトを評価するための指標

          FP&A部門の仕事は大きく分けて二つあります。一つは会社全体の財務状況を管理すること、そしてもう一つは、営業部門や製造部門といった他の事業をファイナンス観点から「ビジネスパートナー」として支援することです。 今日は二つ目のビジネスパートナーの働きに焦点を絞ります。彼らが、具体的にどのような指標を使って、事業部や経営陣の意思決定をサポートしているかを解説します。 ここではよく使われる指標、その指標の意味、促される議論や意思決定についてお話ししますね。 事業部のプロジェクト

          第八話 FP&A部門が事業部のプロジェクトを評価するための指標

          第七話 FP&Aの分析が経営陣の不安を取り除き、社員の業務負荷を減らす

          米系外資企業の財務部門でFP&A部門長や担当者として、長年、多くの経営陣に仕えてきました。経営陣は表面上は冷静に見えても、頭の中では「あれやこれが起きたら、業績はどうなるんだろ」などと、良からぬ事象が起きる場面を四六時中想定しています。 経営陣は「不安要素」については想像力も創造力も抜群で、思いつくたびに部下に、「あの商談がうまくいかなかった場合、今年の売上どうなる?』「円安が今より5円すすんだら、今年の利益どうなる?」などと、追加の計算作業を頼みまくります。 今日は、F

          第七話 FP&Aの分析が経営陣の不安を取り除き、社員の業務負荷を減らす

          第六話 リスク管理表(R&Oリスト)を使って経営陣の意思決定をサポート 

          前回の第五話ではFP&A部門が経営陣に対して、どのように会社の実績、および今後の業績見込みを報告しているかについてお話ししました。 今日は、会社の業績見込みが目標に対して、未達になるリスクを米国企業のFP&A部門が、いかにして経営陣と管理しているかについてお話しします。主にリスク管理のツールとなる「リスク一覧表」、通称「R&Oリスト」に焦点を当てます。 R&OリストのRは利益下振れリスク、Oは利益上振れオポチュニティ(機会)を表します。それぞれの頭文字をとり、多くの外資系

          第六話 リスク管理表(R&Oリスト)を使って経営陣の意思決定をサポート 

          第五話 FP&Aではどのように経営陣の意思決定をサポートしているのか

          前回の第四話の投稿では、FP&A導入に際し、経理社員や経営陣がどういった心構えで変革に臨むかについてお話ししました。 今日は、「心構えは理解したけど、実際にどのような資料を作成して、経営陣の意思決定をサポートするのか」という疑問にお答えしたいと思います。 私がS&P500に含まれる米系企業の財務部門における長年の経験をもとに、「具体的なFP&Aによる意思決定支援の方法」についていくつか代表的なものを挙げてお話しします。 それをご理解いただくことにより、求められる分析スキ

          第五話 FP&Aではどのように経営陣の意思決定をサポートしているのか

          第四話 FP&Aを導入するために具体的に何をしたら良いのか

          過去の投稿記事からFP&A導入の利点を多少なりともご理解いただけたと思います。 今日はより素朴な疑問、「FP&Aを導入するには具体的に何をしたら良いのか?」について、お話ししたいと思います。 私も過去に外資系企業の財務部門の管理職をしていた時に、関連の日本企業に出向して、FP&Aを導入したことがあります。その時の経験をもとに、既存の経理部門にFP&A機能をいかにして導入するかについて、以下の2つの重要要素に絞ってお話しします。 1. 経理社員のマインドセットの切り替え

          第四話 FP&Aを導入するために具体的に何をしたら良いのか

          第三話 FP&Aは業務効率と経営精度を上げる

          第二話で、FP&Aにより、企業が株主や転職希望者など、社外の方にとって有益な財務情報を提供できることをお話ししました。 今日は続編として、社内の人から見たFP&Aの便益、すなわあち、FP&Aのもたらす社内へのポジティブな影響についてお話しします。 以下の2点に焦点を絞ってお話します。 事業部は採算の合わないプロジェクトを事前に排除 経営陣は手遅れになる前に課題を解決 読者の皆さまはある企業の社員や役員になったつもりでお読みいただけると、理解しやすいと思います。 事

          第三話 FP&Aは業務効率と経営精度を上げる

          第二話 なぜ日本でFP&Aを導入する企業が増えているのか

          第一話で、自身の過去の経験をもとに、「経理とFP&Aの違い」を説明しました。 (注: FP&AはFinancial Planning & Analysis、つまり財務計画と分析の略です。) 今日は第二話として、多くの日本企業がFP&Aを導入し始めた背景について、お話ししたいと思います。 一般に「FP&Aを導入する理由」について新聞やネットで語られる場合、よく目にするのが「経営の効率化のため」「意思決定力の向上」「市場変化への敏速な対応」といった理由です。確かに、なんとなく

          第二話 なぜ日本でFP&Aを導入する企業が増えているのか

          第一話 「経理とFP&Aの違い」について

          ここ最近、FP&Aという言葉を新聞や雑誌、ネットで目にしたり耳にしたことがありませんか? これはFinancial Planning & Analysisの略称、すなわち「財務計画と財務分析」を表します。 日本の伝統的な企業の多くはお金に関係する業務は「経理部」が行っており、決算などの会計業務が中心になります。一方で、アメリカの大企業の多くは「ファイナンス部門」という組織をもち「経理部」がそこに含まれます。加えて、アメリカ企業特有の「FP&A」部門が存在します。 最近、

          第一話 「経理とFP&Aの違い」について