日記:文通
小学校高学年の頃、数回ほど文通をしていた。
相手は、いわゆる不登校児だった。誤解を生む言い方かもしれないが、自分は不登校をしていたわけではなく、そういう子と仲良くする機会が多かった。
一人は、好きだったプロレスで共通点があり、その子の家で旧WWFのプロレスゲームを家でプレイしていた(とてつもないゴミ屋敷だったが)。その子は知らぬ間に転校していたが。
もう一人が、文通をしていたKくんだった。パッと見、顔立ちが整った、これも偏見がある言い方だが、不登校児に見えない穏やかそうな子だった。
Kくんとどういう経緯で知り合って、何をして遊んでいたか、今ではハッキリと覚えてはいない。覚えているのが、基本二人で遊んでいたことだった。
ある日、Kくんが引っ越すこととなった。おそらくKくんから、引っ越し先の住所を教えてもらって、二人で文通するのを提案された。
当時は携帯電話なんてなかったし、家の固定電話で話すのも選択肢になかったと思う。
引っ越しの際、お互いによくプレイしてたゲームソフトを交換して、それの感想や近況を書くという約束した。
しばらくの間、Kくんと交換したゲームソフトをプレイし、そのあと、母親に買ってもらった洋封筒と便箋にゲームの感想や、近況を書いた記憶があった。郵便のポストに手紙を入れるときは、本当に届くんだろうか少しドキドキした。
しばらく経って、家のポストに洒落た洋封筒が届いていた。
見覚えのあるKくんの、綺麗な字で自分の名前が書かれていて、ものすごくうれしかった。
交換したゲームソフトの話題や、引っ越し先の出来事を嬉しそうに書いていた。
しばらくの間、手紙のやり取りをしていたのだけど、そのうち疎遠になってしまったと思う。
Kくんが今どうしているのか、分からない。数年前に小学校の同窓会があったのだが、もちろん彼の姿はなかった。
尻切れトンボになって終わったのは当時の自分を責めてあげたいが。
でも毎日毎日、家のポストを確認して、Kくんからの手紙が来ていないか一喜一憂していたあの頃の思い出は、とても貴重だったかなと思う。
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