NAIST合格体験記(2022年第1回)

はじめに

はじめまして、satoshiと申します。受験にあたって、多くの体験記を参考にしたため、私も体験記を残しておこうと思います。受験生の皆様の参考になれば幸いです。

要約


  • とにかく積極的に人に頼る

  • 小論文は書くのに時間がかかるので早めに

  • 学会に聴講参加してみよう

  • 高専 -> 大学編入

  • TOEIC 685(2021/9月)

  • 面接ほぼ詰まらず明瞭に回答

  • 数学は1問目1/2、2問目1/1

筆者の受験前の学習状況


  • CS系学科所属

  • GPA : 3.5-3.7 / 4.0 (高専在学時の成績も提出している関係上、換算対象が不明なため、大まかな目安程度に考えてください。)

  • TOEIC 685点

  • 数学は得意ではないが苦手でもない

NAISTを志望するまで


私は元々進学した大学の大学院に進学する予定でした。しかしながら、新型コロナウィルスの影響を受けて自宅で作業をする人が増え、研究室に私以外の学生がほとんど来ない時期が長く、研究室内で交流をする機会が限りなく少なくなっていました。そうした中でNAISTのオープンキャンパスに参加して後期課程に進む方のお話を聞いたり、学会に参加して博士を取得している企業研究者の方に情報系博士の就職状況や実際の就労内容を聞いたりして行
く上で、博士課程過程に進むという選択肢を検討するようになりました。

ここで、博士後期課程にもし進学する場合、現在所属している研究室はまだ出来て日が浅く、周りに博士後期課程に進学する学生は決して多くはありません。そうした中で、もし自分自身が同じ立場になった時のロールモデルとなる存在がいないことに強い危機感を募らせました。

したがって、お世話になっている指導教員の先生以外の研究室の人々と関係性が希薄(あるいは改善するには相応の労力を要する)である、同大学院の修士課程を修了するよりは、ロールモデルとなる博士後期課程に進む学生の多いNAISTに修士課程から進学して学生との交流を深め、実際に研究活動を行って行く上で自分が後期課程に進むかどうかを考えよう、という結論に2022/2月のオープンキャンパス参加後に至りました。

【試験対策】TOEIC


こちらについては筆者の点数がそこまで高くなく、既に多くの解説記事がネット上に落ちているため、特に触れません。
個人的には、受験を行うかが不明な早めのタイミング(2021/9)で、合格者の平均点らしい最低限の点数を確保できていたのは、精神的にゆとりが持てて良かったと思っています。

【試験対策】数学


復習として、「マセマの微分積分・線形代数」を3周ずつしました。
それが終わったら編入学試験ではお馴染みの「編入数学徹底研究」や「編入数学過去問特訓」などで気になった問題を軽く解きました(不要かもしれません)。
その後、面白い問題が多い明解演習の「微分積分」で気分転換しつつ、指定教科書のラング「解析入門」とストラング「線形代数イントロダクション」を使って問題演習を行いました。解析入門については適当に開いて目に映った問題を解いていましたが、線形代数の方は指定範囲の大体の問題を解きました。途中から一問一問がそこそこ重たくなってくる(特異値分解など)ので、もしやるなら計画的に解き進めることを推奨します。
また、過去問については本番を想定して、途中から紙とペンを用意し、カメラに向かって時間内で解説をする練習もしていました。

【試験対策】小論文


私は大学への入学当初(2021/4)から元々やりたいと思って既に2021/2頃から進めていた研究があったため、その研究の延長線上で行いたいことや、学部の間では時間的に成し遂げられない目標を元にテーマを考えました。なお、テーマ作成までには、google scholarやACL Anthologyなどで気になる論文を調べたり、比較的読みやすい日本語の学会論文集で面白そうなのがないか、適当に漁っていました。
実際に小論文を書き始めてからは、指導教員の先生と定期的にやり取りをして、フィードバックを受けながら修正を行っていました。また、ある程度完成した小論文に志望先の研究室の先生からコメントを頂いたことは、小論文の質向上につながったと思います。なお、小論文作成に至るまでには、実際に考案を練って、プロトタイプを動かしてみて(必ずやる必要はない)、実現可能性やその研究の面白さ・意義を考えて、とやることはかなり多く、想像以上に手間がかかるので、早めの取りかかりが肝心だと思います。

少し話は逸れますが、私は学部3年生までは無料の情報処理学会のジュニア会員に入会し、面白そうなイベントがないかをカレンダーで調べて、時折参加していました。小中高校生、高専生本科~専攻科1年、大学学部1~3年生が対象で、外部の大学院への進学を検討中の方にとって、特に小論文のテーマ決めのための電子図書館などは、かなり便利な情報収集源になるかと思われますので、一度調べてみてはいかかでしょうか。

イベントなどへの参加


例年2月と5月に開催されるオープンキャンパスに参加し、志望先の研究室の学生さんから、実際の活動状況や受験のための有益なコメントを多く頂きました。
また、私は春頃に開催された学会に聴講という形で参加し、偶然にも志望先の研究室に進学される学生さん達と交流することが出来ました。この時のお二方に関しては、個人的に気になった点を何度も質問させて頂いており、学会以降もやり取りすることも多く、大変お世話になっています。この場を借りてお礼を申し上げます。
このように、学会に参加して志望する研究室(あるいはそれ以外の研究室)の学生さんと交流することで、オープンキャンパスを逃した場合でも色々な交流を得ることが可能です。例えまだ自分のやりたい研究が定まっていない状態であっても、とにかく色んな人の発表を聞いてみて、自分が何に惹かれるのかを調べてみる、というのは経験的に悪くない戦略だったと思います。

【試験】数学


※著作権に配慮して抽象的な表現を用います。

線形代数

  1. x,y,zを含む条件式の下でのx,y,zを満たす組を求めよ(完答)

  2. y,zが満たす条件がσであることを説明せよ(半分程度?かなり雑な回答をした)

解析

  1. 教科書に載っていそうなただの積分(完答)

【試験】面接


一部回答が完全に研究内容に触れている関係上、省略、誤魔化した言い方に変換していますが、おおよそ次のような質問が聞かれました。

  • 2分間で小論文のことを説明してください

高専時代、現在行っている卒研(次の学会で発表予定など)、NAISTで行いたいことについて

  • 評価手法や評価指標には何を使うのか

(例を挙げて)自身で作成したいが、現実的な方法としてはある学会の論文で用いられていた▽▽という指標と同様の指標で評価を行う

  • 小論文で提案している手法よりも別の手法が良いのではないか

誤解があり、面接官の方に提示された手法に加えて提案手法も取り入れる

  • なぜあるタスクを実現するためにこの機械学習モデルを使うのか?理由はあるのか?

詳細については学会で発表予定だが、他の手法と比較した結果、当該モデルの性能評価が高かったため

  • (上とは別の)機械学習モデルを採用する理由は何か?

利用可能なデータセットに制限があり、現実的な範囲で実装するには適切であるため

  • この研究の将来はどうしたいか。どうやって?

(省略)

  • 汎用的なモデルの構築よりも、ドメインに応じてモデルを構築すれば良いのでは?

(省略)

  • プログラミング経験は?

python、c、c++、ruby、javaなど

【試験結果】合格


第1希望の志望先の研究室に配属され、学生宿舎への優先入居に申請出来る旨がメールで送られてきました。

おわりに


私は今回の受験にあたって、指導教員の先生、志望先の大学院の学生さん、先生方、他大学で同分野を学ぶ学生さん、そしてこれまで体験記を書いてきた方々に大きな影響と支援を受けました。
改めまして、感謝申し上げます。

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