12月13日

・おとといの夜にパイを焼きたくなって、昨日の夜に材料をそろえて、今日は太陽よりも早く起きました。
まずは生地をくり抜き、北向きの部屋で寝かせ、その間に林檎と洋梨を砂糖で煮込みます。
「キツネ色になるまで」は、どのキツネを指しているのか迷いませんか。頭にあらゆるキツネを思い浮かべて、一番毛がふさふさしている子を選びました。朝の台所は触る物全てが冷たかったからです。
わたしの想像は大正解でした。ふさふさキツネ色煮込みは、洋梨はごりごりした食感を残しつつも、林檎は繊維を感じさせない柔らかさ、砂糖の甘みが補助線となって果物の自然な甘みを後押しし、それはそれはおいしいコンポートができました。
それから、カスタードクリームを作ります。卵黄のみを使う方が一般的なようですが、食べられるはずのものをシンクに流すのは忍びないので、全卵を許してくれるレシピを探しました。卵と小麦粉と砂糖と牛乳をまぜ、二度に分けて電子レンジにかけるとあら不思議。カスタードクリームがあっという間に完成です。
リビングから離れた寒い部屋に駆け足で向かい、パイ生地を持って駆け足で戻ります。外は僅かに雨の音。パイの底にあたる丸い生地の上にカスタードクリームとコンポートをどっさりと載せて、余ったパイ生地で蓋をしていきます。電子レンジの設定をオーブンに変えて、45分待てば、無給特製・思いつきの勢い任せタルトの完成です!

・甘い香りを漂わせたまま、わたしは大学へと急ぎます。今日も笑顔の遅刻です。
大学終わりにデートの予定があったので、気合を入れて髪をセットしたのですが、神様そりゃないぜ。駅に着いた途端、雨が本降りになりました。
こんなに髪がキマった日に雨なんて降るわけがないと思っているわたしは、もちろん傘を持っていません。外を見つめて立ち尽くしている間にも、雨も遅刻もますます悪化します。でも雨だからといって大学まで走っていくのはダサい。競歩で参ります。
うちのキャンパスは木が少なくて、わたしのことを雨から少しも守ってくれません。もうちょっと環境保全がんばれよ。そういえば最近大学から寄付金のお知らせが来ていたのに、わたしは無視してしまいました。お気に入りのコートに雨の模様が滲んでいきます。このまま教室に入ったら、雨の中こいつ頑張って歩いたんだろうなとか思われるのでしょう。最悪ですね。
幸い、教室はパワーポイントを映し出して薄暗く、わたしの雨模様コートには誰も気づいていない様子でした。

・とうとう、本日、卒論を提出いたしました。絶対に卒業したいので、わざわざ担当教授の部屋に押し掛けて、提出ボタンを押しました。
提出を見守ってもらったお礼に、先生に焼き立てのパイを分け与えてあげました。先生はちょっとうれしそうでした。わたしの論文だと、単位を落とすことはまずないそうです。卒業ありがとうございます。

・夜は、寒空の下キンキンのビールを飲んだあと、ほかほかの室内で沖縄そばをすすりました。今年見たいものベストスリーは「二本立て映画館・沖縄そば・長い階段」でしたので、12月13日にしてようやく三つ揃えることができました。おめでとうございます。
沖縄料理屋さんの店員さんは、食器をがしゃんがしゃん言わせながら配膳してくれます。海の無い県出身の人が海ぶどうを好きだと言うので、本当に食べたことある?と聞いてしまいました。東京には海がありますが海ぶどうはとれないですし、失礼ですよね。
あぐー豚のコロッケのじゃがいもがめちゃくちゃ甘かったです。

・卒業論文がいよいよ終わりましたので、残り3か月をへらへら過ごしてしまわないように、有言・超・実行で頑張ろうと思います。友達の写真集を作りたいです。夜通し歩きたいです。知らない人とも仲良くなりたいです。わたしって一緒にいて落ち着くようなタイプじゃないかもしれないけど、でも見た目よりも気が遣える人ですよ。みんなの話いろいろきかせてください。

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