12月22日とか

・雪原が美しい、と思った時には、足元の雪はわたしの体重で押し固められ、泥でくすみ、雪原が見渡す限り雪原であった頃の美しさは失われてしまいます。何かを見て美しいと思うことは、そういう悲しさを必ず含んでいると思います。

・草間彌生さんの展示を見に行きました。
鏡を使って無限の空間を生み出す作品がいくつかありました。作品を覗き込もうとすると、鏡に映る自分とどうしても目が合ってしまいます。草間さんの作品について考えるよりも前に、自分と向き合わざるを得ません。
その中に、チームラボにある部屋によく似た、鏡の間に電球を吊り下げた作品がありました。チームラボとは違って、ここでの撮影は禁止されています。三原色に光る電球たちは、順々に色を変えて、そのリズムの心地よさに身体を任せていると、学芸員の方が静かに扉を開けて退出を促します。
宇宙に放り出されていると思っていたのが、そういえばわたしは、地球を目指して時速何万キロで走るロケットの中にいたんだった、と思いました。星が近付いたり遠ざかったりして、もう少しで今年も終わります。

・最後の部屋では、草間彌生さんと言えば、なカボチャの作品が待っていました。黄色いカボチャの表面に浮かぶ黒い丸は、その体だけでは足りなかったというように、部屋の壁にまで沢山の丸が描かれています。
カボチャを切ったら、きっとたくさんの種が出てきます。カボチャの茎を切っても、水や養分の通る管が丸い断面を晒すでしょう。

・大学に行く途中にある洋食屋さんが閉店してしまったようです。名店ですが、結局足を運ぶことはありませんでした。残念。
と思っていたら、旅行先で同じお店を見つけました。
徒歩七分の距離が寒すぎて、目的地の途中のイオンで暖を取ろうと思っていたところでした。折角田舎に来たのに、星も見えない夜でした。そこの通りだけやけに風が鋭くて、そんなときに目に入った緑の看板は、まるで青信号のように気持ちが良かったです。

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