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女の勘のヤバさよ....夫の不倫(昔話)

結婚して約2年半。第一子の娘が1歳半頃の出来事。

約30年前、私と夫は一台の車を共有していた。私の用事があるときだけ、車を借りていた。ある日曜日。娘を夫に預けて買い物に行く。1週間分の食材を買い込み、後部座席に乗せ自宅に戻る。

何の変哲も無いいつもの日曜日。

しかし。何故か車のトランクが気になる。どうしても見なくてはいけない気がして、トランクを開けることにした。普段開けることが皆無なので、開けるスイッチを探すのに手間取ったことを未だに覚えてる。

ようやく見つけて、トランクを開ける。

そこには小さなプレゼントの包みと手紙の山。                 一瞬で事情を理解する。動揺して顔が熱い。なのに指先は驚くほど冷たい(カブトムシか)。冷えた指先で鷲掴みにした手紙の中から一番可愛らしい封筒を選び、読んだ。予想通りのラブレター。喉からグゥッと、変な音が漏れた。

.....女の勘の凄さよ。理屈じゃ全く説明出来ない。自分でも未だに不思議だ。

今すぐ夫を問い詰めたい気持ちを全力で抑え、手紙を全て持って運転席に戻る。全部読む。もう、あの時の気持ちは何と言っていいかわからない。私と子供の人格や存在が全否定されたような感覚。膝に力が入らずなかなか運転席から立ち上がることが出来なかった。

相手の人は独身のようだ。私と夫の離婚を切に望み、夫との明るい未来を夢見ている。早く2人の赤ちゃんが欲しいとピンク色の可愛らしい便箋に書いてあった。

私と同い年の23歳。そうだよね、好きな人とは一緒になりたいよね、赤ちゃんも欲しいよね。でも、そのあなた達の夢を叶える為に、今から苦しみもがいてもらおう。一番悪いのは夫。どう考えても夫。夫婦なんてどちらかがもう一緒にいる事は出来ないとなると、離婚しかない。でも、楽にそれはさせないよ、子供がいるんだから。と決意。彼女も夫が既婚者だと知ってのこと、罪深い。さあ、どうしてくれようか....。                                           脳内フル回転させながら手紙をさらに読む。

読んでいるとひとつ気づいた事がある。私の名前がちょこちょこと出て来る。(勝手に名前を教えんな!)とさらに怒りを募らせながら読んだ文面には、謝りたいだの、許されないのはわかっているが話し合いたいだの、出会いの順番を神様が間違えた(忘れたいのに忘れられないフレーズ)だの、ちょっとした悲劇のヒロイン風だ。      

その時、フル回転脳内にある事が閃く。

これだ!!私はこのヒロイン風の彼女をとことん無視しよう。実際、私にとって向き合って話し合うべきは夫だし、これからの事を決めていくのも私と夫である。もし彼女が別れます、と私に言った所で夫が彼女にすがりつく事だって十分に考えられる。そうなれば彼女の思う壺だ。彼女のヒロイン欲を私が満たしてやる必要はない。だから、全力で無視することにした。完全なる部外者にしたのである。対峙するときは慰謝料請求の時くらいだな、と決意を固めた。そして、この部外者扱いが彼女を困惑させ、疲労困憊させる事になる。 全無視される悲劇のヒロイン。

長いので次に続く。



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