給付金とピアノ
「いずれどこかのタイミングで娘にピアノを買ってあげよう。」
約1年前、長女のピアノレッスンを始めたころ思っていた。
いつかいつか、、、
1年続いたら、1年生になったら、「買って」と言われたら、次女も始めたら、、、
その”いつか“はそれぞれで、答えはない。
そんな中、コロナでピアノレッスンをオンラインに極力切り替えてほしいという教室からの要求があった。
我が家は15,000円ほどのキーボードで練習しており、割と習得の早い娘が本格的にピアノをするにはちょっと物足りなくなってきたころでもあった。
「じゃ、ピアノを買おう!」
・・・とはならない。
子どもへの一括投資金額としては結構高いのだ。
電子ピアノ、中古あたりでも、数万円からかかる。
一番安い方法は、おそらく中古の電子ピアノだ。
しかし、家電と一緒で寿命があり、使えなくなる時がやってくる。
そしてその時まで続けていたら、そのタイミングでアップライトピアノに買い替えるだろう。
また、何よりもやっぱり本物に触れさせてあげたかった。
ならば、、、いや、高い。。。
そこで、ふと給付金のことを思い出した。
子供2人で20万円。
すぐさまそのお金を使わなければならない出費はなかったので、通帳にそのままだった。
何か子供たちのために使おうとは思っていた。
保育園の用品、衣料品、おむつ、食費、、、毎月すーっっと家計簿に薄まって消えそうではあった。
ただ、せっかくのまとまったお金なので、これから活かせるかたちで使いたかった。
そうだ、これでピアノを買おう!
もう迷いはなかった。
早速楽器店へ行くと、年式はやや古いが、楽器店のメンテナンスによって蘇ったピアノたちが並んでいた。
また弾いてくれる人を待っている素敵なピアノたちが。
しかも、ほぼ給付金の値段。
周りに並ぶ、新品、新品同様の中古、、、上を見ればきりがない。
音の違いはそれぞれだが、結構そのピアノもいい音をしている。
これに決めよう。
おそらく、弾き手がいなくなったピアノを安く買い取って、メンテナンスしたものだ。
このピアノを弾いた人は、今何をしているのだろう。
なんだかとてもありがたく思った。
なんていいシステムだろう。
必要がなくなったら、次に必要な人へつないでいく。
今度は、ようこそわが家へ。
まさか本物のピアノを買ってくれるなんて(買うなんて)思ってもいなかったのか、
娘はきらきらと目を輝かせていた。
夕飯後、「お父さん、お母さん、ピアノを買ってくれてありがとう。練習頑張るね。」と
娘はきちんと言葉にして伝えてくれた。
娘はまだ高額な買い物だったということはよく分かっていないと思う。
けれど、このタイミングで本物のピアノに長く触れることができる環境ができたことは、
今後の人生で20万円以上の価値をもたらすかもしれない。
それはなにもピアニストを目指すというものではない。
音楽を楽しいと思うこと、ピアノが弾けるという自信、音楽を通じて出会うつながり、、、
私自身も約30年続けたピアノには、色々な思い出が詰まっている。
きっと娘にとっても、これからの人生を豊かにしてくれるだろう。
色々と問題のあった給付金だが、我が家はとても素敵な使い方ができたと思う。
ありがとう。
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