拝啓 恋に敗れた人へ

拝啓 恋に敗れた人へ捧ぐ
幕を下ろすための文章さ

始まりはあんなに情熱的だったのに
終わりはこんなにも静かなものですね

君を常に近くで感じていたいから
一番上に固定された君のトーク画面
そのピンを外して下に流したのは
決戦に破れた次の日の土曜日でした

もうこんなに好きだったのに
結局は舞台の上でただ一人
踊っていただけでした

咽び泣いて繰り返してまた泣いて
面向かって「好き」と伝えられた
あの夜の私の勇気よ、成仏せよ
そのための供養に涙を流すよ

もうこんなに好きだったのに
君と会う前に服とか髪とか匂いとか
すごい気にしてたのに恋が終わった

君の顔と君の言葉と君の思い出と君の全てが
トーク画面と共に下に流れていったら
また歩こうか

夢のようだった日々は夢のままでさようなら