夢百夜話-ユメヒャクヨバナシ 第10夜
「あの日、一瞬で全ての日常が変わってしまったの。」
静かにもう1人の女性が言った。
ある日、小さな隕石が発見された。落下予測地点も千葉から遠く離れた海上。被害はたいしてないと予測された。
「落下数時間前に判明した恐ろしい事実は隕石自体の信じられないエネルギー量だった。」
隣に座っていた男性が言う。公表すればパニックは確定である。政府は当然の流れとして隠蔽、自分たちだけ逃げた。知らない国民たちは世紀の天体ショーを楽しんでいる間に……。
「いまだに新潟、長野、静岡を結ぶ線と新潟、福島を結ぶ線で通れないようにフェンスが続いてる。中はどうなっているか、人はどうなのかの情報もない」
なぜそこで区切りをうったのか、説明はなかったという。異例の速さだった。それで終わるかと思われたがそうはならなかった。謎の病である。
「政府はね、VR-仮想現実の研究を前倒しにしたの。病気のほうをやんわりと後回しにした。なぜなんだろうって思ってたけど」
少し自嘲ぎみに笑いながらサエコに似た女性は言った。
話が大きすぎてついてゆけない。本当にこちらが現実なのか?誰か、誰か本当のことを教えてくれ!
作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。