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UnKnown

その2。

外に出てしまったが困った事態に陥ってることを実感する。……端末が使えないのだ。

何回やっても『認証エラー』の表示。
パスコードも指紋認証も不可。

「ああ、くそっ!」
あきらめて歩き出すが道がわからない。
「どんだけ頼ってたんだ?俺」
ナビがあれば数分で行けるはずだがいつまで経ってもたどり着けそうにない。

『UnKnownです。認証できない個体が一体。朝、建物を破壊した個体と推定されます。』

機械音声が響き渡る。瞬間、周りの人々の端末や街頭モニターに自分の顔が映し出された。
ざわざわとした空気に包まれていく。

『個体を発見した場合、捕獲などは行わないように』

更に大きな声で注意喚起を促す機械音声。
(俺が何をしたって言うんだ、くそっ)
俺を中心にして人の輪ができていく。

俺が動けば人たちも動く。しかし決して触れるような距離ではない。

(どうしたらいいんだ?)
ただ<認証不可の個体>というだけの俺。
(まるで犯罪者じゃあねぇかよ)

腹ただしい気持ちと泣きだしたい気持ちがごちゃごちゃになっていた。
「え~、くそっ、よし!」
俺は腹を決めた。


作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。