見出し画像

沖縄修斗エンディング曲に秘められた平和への想い

皆さんお久しぶりです。沖縄修斗映像担当の木暮です。
昔は「ブログファイター」と呼んで頂ける程執筆活動が盛んだった私ですが、最近はめっきり動画ばかりになってしまいました。執筆とは無縁の生活を送っていましたが、執筆活動も少しづつ復活していこうかなと。(今はこうしてブログと違った単発執筆系のプラットフォームもある事ですし)

さてさて、今日のテーマは沖縄修斗のエンディング曲に秘められた平和への想いについてです。まずはこちらのエンディングをご覧ください。

閉会式でも会場に流されるこの曲。アイルランドを発祥とした民謡「Danny Boy」という曲です。歌い手は、松根先生のお知り合いである小林てつやさん。沖縄修斗の為に、急遽レコーディングして下さった曲です。

沖縄初の総合格闘技ジム、#THEパラエストラ沖縄 さんの修斗公式大会が11/29にコザの音市場で開催されます💪🏽 イベントのエンディングで僕が歌ったDanny...

Posted by Tetsuya Kobayashi on Wednesday, November 25, 2020

僕がてつやさんの記事を見させて頂いたのが、ちょうど大会の2日前だったと思います。大会準備も相まって色々追い詰められていた自分は、この動画見た途端に涙がポロポロこぼれてしまいました・・・。大会会場に向かう車の中で、松根先生に「てつやさんのDanny Boy最高っす!!(´;ω;`)ブワッ」と熱く語っていたのが記憶に新しいです。(苦笑)

沖縄修斗第3回大会で初めてエンディング曲となったこの曲ですが、この曲何の曲かな?と気になった方も多いのではないでしょうか。
今日は沖縄修斗エンディング曲であるこの「Danny Boy」という曲について、語っていこうと思います。

作者不明?アイルランド発祥の美しいメロディー

この曲にはクレジットが存在しません。そうです。作者不明であり、人から人へと語り継がれていった民謡の一種です。
元を辿ると、イギリスに植民地支配されていた17世紀のアイルランドに辿り着きます。その頃に歌い継がれていたのが、「Danny Boy」の原曲となる「Londonderry Air(ロンドンデリーの歌)」という曲です。

その後、19世紀にジミー・マッカリーという盲目のヴァイオリニスト(アイルランド人)が路上で演奏していたものを、ジェイン・ロスという女性の民謡収集家(アイルランド人)が聴き取って採譜したといわれています。
この曲が元となって、いくつものバージョンが生まれ、それぞれのバージョンに想いを込めた歌詞が付けられていきました。
植民地支配を経験したアイルランド人だからこその平和への想いを語った歌詞が多く、地元アイルランドで粛々と人から人へと受け継がれていったのです。

「Danny Boy」誕生の起源

第一次世界大戦が始ろうとしていた20世紀の初頭。
1913年、この歌にイギリスの法律家で作詞家だったフレデリック・ウェザリーが「Danny Boy」というタイトルで、戦場に赴く息子の姿を見送る母の悲しみを表現した歌詞をつけます。
これが、「Danny Boy」が初めて世に誕生した瞬間。まさに沖縄修斗のエンディングで聞くのが、この歌詞になるわけです。

ああ私のダニーよ バグパイプの音が呼んでいるよ
谷から谷へ 山の斜面を駆け下りるように
夏は過ぎ去り 薔薇もみんな枯れ落ちる中
おまえは…おまえは行ってしまう

※歌詞の全文は本章の最後に記載

時は流れ、第二次世界大戦中には、人気歌手に歌われた事によって「Danny Boy」は世界へと広まっていきます。戦後の日本でも、江利チエミさんや美空ひばりさんが歌って愛されました。


フィギュアスケート・荒川 静香さんによって現代の日本でもより親しみのある曲となる

この曲・・・どこかで聞いた事ある・・・
そんな風に感じた人も多いかもしれません。この曲が日本で最も認知されたのはトリノ五輪の時でした。

フィギュアスケートで金メダルを獲得した荒川 静香さんが、エキシビションで使用した事で有名なCeltic Womanの「 You Raise Me Up」という曲。この曲の原曲が、何を隠そう「Danny Boy」なのです。

世界中で愛される珠玉のメロディー
様々なアーティストが様々なバージョンでカバーしているので、色々なバージョンを聞き比べてみるのも楽しいので是非。

終わりに

長々と語ってきましたが、この「Danny Boy」という曲には、植民地支配されていたアイルランドの人々の想いが込められている事、戦場に赴く息子を想う母の気持ちが歌われている事をお伝えできたらと思い、筆を執りました。

この曲の背景を知ってからもう一度聞くと、また違った印象になるかもしれません。


私はスポーツに政治的思想や宗教を持ち出す気は更々ないですが、常に平和を願っています。

一見すると、格闘技は暴力的に写るかもしれません。
でも格闘技ほど、平和でなければできないスポーツはありません。

ミサイルや爆弾が飛び交う中、病気や飢えに怯える中では、誰も格闘技なんてできないのです。
極限の技を身に着けて、極限の身体を作り、そしてお互いの全力をぶつけ合う。それが出来るのはやはり、世界が平和だからです。

それが、私自身の競技生活を通して思った本音です。








悲しみを知る沖縄だからこそ、この曲の意味があると、私は思います。







それでは、また次の記事でお会いしましょう。







Danny Boy(歌詞)

Oh Danny boy, the pipes, the pipes are calling
ああダニー,パイプの音色が呼んでいるよ

From glen to glen, and down the mountain side
谷から谷へ,そして山のほうへと響き渡るパイプの音色が

The summer's gone, and all the roses falling
夏は過ぎ去ってしまい,薔薇の花々は枯れ落ちていく

'Tis you, 'tis you must go and I must bide.
あなたは,そう,あなたは行かなければならない.
だから私はいつまでも待っているよ

But come ye back when summer's in the meadow
でもあなたが帰ってくるのは,
牧草地に夏が戻ってくる頃なんだろうね

Or when the valley's hushed and white with snow
あるいは,谷が静まり返り,雪で白むころかも知れない

'Tis I'll be here in sunshine or in shadow
陽の光の中でも,暗闇の中でも,
私はここであなたを待っているよ

Oh Danny boy, oh Danny boy, I love you so.
ダニー,ダニー,愛しているからね

And if you come, when all the flowers are dying
花々が枯れゆくころ,あなたは帰ってくるのかもしれない

And I am dead, as dead I well may be
その頃には,私は息絶えてしまっているのでしょうね

You'll come and find the place where I am lying
あなたは戻ってきて,
私の眠っている場所を見つけてくれるでしょう

And kneel and say an "Ave" there for me.
そして,膝を折って
私のために祈りを捧げてくれるのでしょうね

And I shall hear, tho' soft you tread above me
私の上を踏みしめる,あなたの足音がどれほど微かでも,
私には聞こえるでしょう,あなたが帰って来てくれたその音が

And all my dreams will warm and sweeter be
そして,私の見る夢は暖かく,甘美なものとなるでしょう

If you'll not fail to tell me that you love me
あなたが私のところに帰ってきて,
愛していると告げてくれるのなら

I'll simply sleep in peace until you come to me.
あなたが帰って来てくれるまで,ただ安らかに眠っています










ご愛読いただき、誠にありがとうございます!