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夏休み夜間青少年パトロールに引っかかる中年男

旦那はテニススクールに通っている。
テニスでストレス発散できるらしい。
体を動かすのが嫌いなワテからしたら羨ましい性質だ。
彼は金曜日夜と、土曜日朝にスクールに通い、
自分自身になかなかの投資をしている。
会社のテニスサークルにも行く。
とにかく留守がちである。
「いつも遊びに行って楽しそうでいいねぇ」と声を掛けると
「遊びじゃねぇ」と真剣に切り返す。
遊びではないらしい。
学生にとっての「部活・命」のようなものらしい。
中年によくありがちな、運動不足解消という生ぬるい目的ではなく、
勝ちたい、うまくなりたい、という熱い向上心に満ち溢れている。脱帽だ。

テニススクールの場所は
坂のアップダウンの激しい道のりの先にある隣町である。
彼はスクールに車で通っていたが、
コーチに、「車なんかで来るんじゃない。体力作りにチャリで来い。」と言われたらしく、
娘らのお下がりのボロいママチャリで通い始めた。

夏休みに入ったある日、
深夜23時過ぎにテニスTシャツを着てフラフラとチャリを漕いでいた彼は
夏休み夜間青少年パトロールをしていたパトカーのお巡りさんの目に留まり、
シーンと静まり返ったご近所にて
「はい、そこの自転車、止まりなさい」とマイクで声高らかに停止を命じられた。これはなかなか恥ずい。

留まらせてみれば不良少年ではなく
ただの汗だくの中年男で
すぐ釈放されたらしいのが 

夜中にスポーツウェアで張り切ってチャリを漕いでいる中年男というのは
少々珍しい存在だろう。お巡りさんの心をざわつかせてしまったようだ。


笑える。

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