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【心問書簡】 私の英語学習についてのお話


昔、束の間アメリカに暮らしていました。
その頃、アメリカ人の知り合いから、日本文化について教えてくれと言われて、なんとも説明できなかったことがあります。
単純にその時は、英語力が今よりも乏しかったこともあるけど、日本語でも説明できなかったかもしれません。

私たちは実際にどのくらい、自分の国のことを知っているでしょうか。
自分の国の歴史や文化を、どのくらい理解しているでしょうか。
海外で生活をすると痛感するのが、自分は日本人である、という感覚です。そして、私が自国を語れないと分かると、たいていの場合、
相手がこちらを、対等に見てくれなくなった様に感じたのを覚えています。
もちろん、ほとんどの人は、あからさまに態度には出しませんが、
実際、個人として認められていないような、そんな感覚でした。
元々、歴史は好きで、専門紙まで読んだりするくらいでしたが、歴史を知ることと、自国の文化を理解することは、また別の問題ですし、いずれにせよ、それを英語で語れなければ、意味のないことでした。

もしこれをお読みになっていて、私のように第二言語学習者で、
いずれ海外へ行ってみよう、と思われてる方がいらっしゃるならば、
僭越ながら、アドバイスが3つあります。
本当はもっとありますが、長くなるので3つに絞りました。
私の拙い経験からですが、これを知っているのといないのとでは、かなり大きな違いだと思います。


①日本文化と歴史
まず一つ目は、先ほども例に挙げました通り、
最低限の日本の歴史と文化は、ある程度英語で説明できる様にしておきましょう。簡単な文章を丸暗記でもいいです。
例えば近年ですと、欧米でも緑茶が大人気です。
日本茶の話題になった時にさりげなく、

Japanese tea is roughly divided into three kinds.
They are green tea, roasted tea, and powdered tea.
and usually, ”Japanese tea” refers to ordinary green tea.
(大きく分けて、日本茶には3種類あります。煎茶、ほうじ茶、抹茶です。そして、ふつう日本茶といえば、煎茶のことです)

もしくはもっと簡潔に、

There are roughly three kinds of Japanese tea.
They are green tea, roasted tea, and powdered tea.
(日本茶には大きく分けて3種類あります。煎茶とほうじ茶と抹茶です)

このくらい簡単な言い回しでも、十分だと思います。
食べ物や神社仏閣の話、日本における礼儀の話など、自分の興味のあるトピックを選んで、3〜4種類くらいは得意な話題があるといいですね。
例えば、よく海外の人に聞かれるのは、

What does Itadakimasu mean?
「いただきます」ってどういう意味ですか?
や、
What is the difference between shrine and temple?
神社とお寺の違いはなんですか?
などです。
あなたは英語で説明できますか?

異文化の人と話していて楽しいのは、お互いの感覚や価値観のずれです。
それが新鮮な驚きとなって、会話が楽しくなり、
ひいては相手に対しての関心も強くなっていきます。
そうすると、よりスムーズに良い関係を築けるのではないでしょうか。


②完璧な英語を話そうとしないこと
二つ目に、日本人は『正しい(完璧な)英語』を話そうとします。
あくまで私の感覚ですが、それは一番いらないことだと思います。
基本的に、よほどの方でない限り、日本人が完璧な英語を話せる様には一生ならないと思います。何のために英語を学んでいるのか、にもよりますが、基本的には完璧に話す必要はないと思います。
そして、会話において最も重要なのは、
「言葉」ではなく、「コミュニケーション」だと思います。
「言葉」に意識を向けることも大切ですが、
「相手」に意識を向けることの方が、ずっと大切です。
どんな人でも、そういう空気は感じ取るものですし、こちらの誠意や気持ちを、汲み取ってもらえると思います。


③想像力と読解力
そして最後に、これは本当に大きなポイントです。
日本の小説を、たくさん読む習慣をつけましょう。
英語を勉強し始めの頃は、まったく気づきませんでしたが、
何年も、それが5年、10年と続いてくると、
いかに、想像力と読解力が大事なのかが、分かってきます。

想像力は、やさしさや思いやり、共感力や相手をいたわる気持ちなど、
あらゆる感覚の根源的なものですので、言うまでもありません。
読解力は、これは相手の真意を汲み取る能力であったり、辞書や翻訳機では代替できない、細かなニュアンスを汲み取る能力です。
これは特に、7~8年以上、第二言語学習をされてる方には共感してくれる方が、多いんじゃないかと思います。
この2つを育むには、よほどの経験を人の何倍も積むか、読書しかありません。
そして読書は、まさに疑似体験ができるツールなので、その人の想像力と感性次第で、本物の体験に近い経験値を得ることも可能です。

ある程度会話ができて、一見とても流暢に英語が話せる様に見えるのに、
翻訳や通訳をしてもらったら、変な日本語になっていたり、
相手の真意を正しく捉えられていなかったりすることは、とてもよくあることです。
自分の言いたいことを言えるということと、相手の真意を汲み取ることは、まったく別のことですよね。
ですから、これは本当に大きなことで、英語がかなり上達してから、そのことに気がついて、すごく後悔している人を、たまに見かけることがあります。
また、なぜ日本の小説なのかと言うと、海外の小説でもよいのですが、その場合は作者の言葉ではなく、翻訳された言葉だからです。そのことをよく理解した上でなら、海外の小説でもいいと思います。
そして、なぜ小説なのかといえば、小説が最も想像力を使うからです。


さて、いかがだったでしょうか。
あくまでも、どれも個人的な意見ですが、ご参考になれば幸いです。
ここで冒頭の問いかけに戻りますが、

私たちは実際にどのくらい、自分の国のことを知っているでしょうか。
自分の国の歴史や文化を、どのくらい理解しているでしょうか。
そして自分のことを、実際にどのくらい知っているのでしょうか。


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