新聞に掲載された短歌と俳句(2020年)
【新聞歌壇】
酒とゐて人と語らふ時間には
思ひもよらぬ地平を得しに
平成の向こうの昭和の映像は
ことなる国の歴史のごとし
息を吸ひ
鼻腔をとほる音にきく
身体のこゑと心のこゑと
今帰仁(なきじん)の
古酒(くーす)とアグー豚しゃぶを
島の塩(まーす)で夕陽といただく
詠みてなほ
納まりきらぬ緒ののびて
仕舞ひかたをばもとめさまよふ
春雨にじつとりとせる夜となれば
男らつどふビクトリアン・パブ
路地裏にトラック来たり神技の
幅寄せ見せるプロ引越し屋
久しぶりに
四十階のオフィスから
見やる峰雲今年も白し
痛み消えれば考えているようないないような病室の時間
【新聞俳壇】
冬うらら銀器まばゆき蚤の市
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