歯ごたえ手ごたえ口ごたえ
食感って何だ
友人のAさんは、
歯ごたえのある食べ物が好きだという。
歯ごたえは「味」ではない。
だけど、気持ちはなんとなくわかる。
「食感を楽しむ」という意味では、
歯ごたえのあるモノを食べるのは楽しいわけだ。
野菜で言えば牛蒡。
焼き肉で言えばミノ。
刺身で言えばアワビ…は高いのでトコブシ。
あとはナマコとか。
歯ごたえのあるモノって、
「高い」か「安い」かのどっちかみたいで
「普通」がない感じがする。
そもそも王道から外れてるんだな。
それがアウトローな方向だけじゃなく
高級な方にも逸れてるのがおもしろい。
Aさんは「プチプチ」した食感も好きだ。
いくら。とんぶり。
そういう意味で言えば、
子持ち昆布はverygoodらしい。
あの「数の子が昆布にくっついているやつ」
歯ごたえとプチプチの両方があるからだ。
舌以外の感覚
こういう「良い感覚」って不思議だ。
美味しいっていうのもそんな感覚の一つで
食べるイコール味わうみたいに思ってるけど
味なんて所詮「舌の感覚」にすぎないのかも。
食べて「良い感覚」を感じるためには
歯の感覚だって大事だってことだな。
匂いだって味の一部だと言えないこともないし
みんな舌に過剰に期待しすぎなんじゃないか。
喉ごしなんてのもある。
喉ごしが良くて美味い、なんて言うけれど
喉で味わえるとしたら特殊能力だ。
まあみんな何気に食感を意識してるってことか。
「ごたえ」グループ
Aさんは、歯ごたえのあるものを食べると
ストレスの解消になる。とも言う。
食べるということに、
そういうコトを求めるというのも新鮮だった。
多分、梱包剤のプチプチをつぶすのも
好きなのではないかと思う。今度聞いてみよう。
そう言えばAさんは、酒を呑んで
燃えるような議論を闘わせるのが好きだ。
とくに熱い若者と闘うのが好きだ。
多分、歯ごたえがあるからだろう。
この場合は口ごたえかもしれないが・・
いや、手ごたえかな。
この「ごたえグループ」ってつまり
反発を楽しんでるってことなんだろう。
適度な困難は快感をもたらす…ってことか。
結構屈折した感覚ではあるな。
とはいえ、すんなり行き過ぎるとつまらない
ってのはわかる。
ちなみに、ごたえグループの中で
「口ごたえ」だけは流派が違ったりする。
歯応え、手応え、口答え、とこれだけ「答」。
いちばん反発してるみたいなんだけど不思議だ。
まあ成り立ちが違うってことだと思う。
「口当たり」ってのもある。
これなんてそもそも何なんだろう。反発の逆か?
味以前な感じもする。口に入れた直後の印象?
「舌ざわり」なんてのもある。
さあ、これはちょっと大変だ。
味なのか食感なのかもうわからない。