言葉のことばかり【当て字】
粋な言い回し
夕方、東銀座を通ったらすごい人混みで友人が
「ああ、歌舞伎がハネたんだねえ」と言った。
おお。なんてシヴい言い回しだろう。と思った。
粋だ。
昔まだいろんなとこでタバコがすえたとき、
タクシーで「タバコ、いいですか?」と
運ちゃんに聞いたら、
「へい、つけてくだせえ」と言われた。
時代劇か。シヴいねまったく…。
最近だとタバコは「吸う」って言う。
味もそっけもない。行動そのまんまだ。
吸うってのは単なる行為で機械だってやる。
味もそっけも、って言ったけど、
そこにプラス味わいみたいのがあると
違う字を使いたくなる。
「喫う」かな。喫茶店の「喫」。
喫茶もお茶を「喫む」ってことで、
ただ「飲む」んじゃない。
タバコも「のむ」って言う古いヒトもいる。
当然「飲む」じゃない。「喫む」だよね。
たぶん。よくわかんないが…。
酒は「呑む」。
水みたいに飲んでは酒に申し訳がない。
と、いろいろ並べたが、
漢字ってもともと中国語で、
訓読みはそれを日本で表現するために
作られたものだと考えると、
そもそも全部当て字なんだっていう人もいる。
だから正解なんてないってことらしい。
訓読みに正解なし
そう言われれば「女」と書いて「ひと」とか
「運命」と書いて「さだめ」とか。
昔は演歌に多かったね。
昔はなあ、って言いたいとこだけど、
最近の歌の方がもっと凄いと思う。
ちょっと検索したら
時代(とき)未来(さき)人生(みち)
故郷(まち)毒薬(ポイズン)
淫獣(けだもの)殺意(しょうどう)
前科(まえ)恋文(しらべ)奇跡(あす)…
まあ遊びだよね。キラキラネームに近い。
確かに無茶苦茶なものも多いけど、
微妙なニュアンスを伝えるためには
有効だったりする。
言葉って意味が正しいことも大事だけど、
気持ちが伝わることが大事なんだから
これはこれでいいんだと思います。
学校の漢字テストって何だったんだろうね。
タバコに火をつけての「火をつける」。
どんな漢字当てるか。これまたややこしい。
タバコなら「点ける」ですかね。点火する。
いや「着火する」だから「着ける」か?
聖火も点火するから「点ける」が合うね。
ろうそくだと灯ける…
いやこれは灯る(ともる)か。
まあ普通は火を「付ける」で事足りるので
気にしなきゃいいんですけど。
好きで気にしてるだけなんで…。
新しく作るのもいいけど
古い言い回しは残したいね
そのときの気持ちやシチュエーションで
使う言葉や文字を変えるのは、
必要ではないけど、ないと寂しい感じ。
ちょっとした贅沢と言うか、
コミュニケーションの余裕っぽい。
独特な言い回しや、
そんときしか使わない動詞にはシズルがある。
特に、古い言い方は
どんどん使わなくなってるけど、
もったいないなあと思うね。
「今晩一杯飲る?」の「やる」も
何気なく使うけど、けっこう特殊だ。
特殊だからちょっと与える感じが違う。
そのちょっと違う感じがいい感じなんだよね。
次回の言葉は「五月蝿い」です。
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