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蝉の七年間は引きこもりなのか

蝉の鳴き声は風流か

蝉が鳴くと梅雨が明ける、なんて言う。

ホントかどうか知らないけれど、
ウチの周りでも鳴き出した。
ああ夏だなあ。…なんて

正直、そんな風流なもんではなく、
もうとっくに暑くてたまらないんだけど…。

そのうち、うるさくてもう勘弁してくれ、
ってくらい鳴きわめくんだろうな。

たとえば

近道をしようとして、
小さな公園に一歩、入った瞬間、
ジャワーッ!!って、ものすごい鳴き声の洪水。

うわあ、そんなにチカラ入れなくても・・・

しょうがないか、
7年間も土の中にいたんだから思いっきりいけ。
と、妙にやさしいキモチになっていると、
一句うかぶ。

「公園の 蝉よなけなけ 七年分」

う~ん。
気持ちは分かるが、決して上手ではないな。
そのまんまだもんな。
この一斉放火のような、洪水のような、
どーっとくる鳴き声はどう表現したモノか。

「七年の 恨みを土に たたきつけ」

うーん。ちょっと意味が違うか。
まったく蝉から離れてしまったな。
それ以前に季語がないぞ。
この「たたきつけ」という表現は、
激しくていいと思うのだが。
もっとうまく言えないか…。

おいおい、ちょっと待てって、
どっかで聞いたことのあるシチュエーション
・・・これってひょっとして、

「閑さや岩にしみいる蝉の声」ではないかえ。
かえ…って、なんか文章まで時代がかってきた。

いや、そうか。そういうことね。
そういえば、この声って、
岩にしみこむかんじだよなあ。
一瞬、他の音が消えたような気がした。確かに。

う~ん。なかなか風流だ。
しかしすごい。芭蕉って。今日始めてわかった。
この感じを「しずかさ」とは…。
ただもんじゃないな。
(もともとただものじゃない)

七年間の思い

「七年の恨み」って書いたけど、
子供のころから思ってた。この不条理。

七年地面の下で、出たら七日で死んじゃうって
そりゃ割り切れないだろう。
だからその鬱憤を晴らすように
あんなに鳴くんだと。

しかし考えてみると、
地上より地下の方がよっぽど安全。
地上は外敵が多いし、蝉ってどう見ても弱い。

ひょっとすると、彼は
地上に出たくなかったのではないだろうか。

地面の下は快適である。
できればずっと引きこもっていたい。
だけど自分には仕事があるのだ。
子孫を残すために外に出なければ。なぜなら
地下に、出会いはない…。

期限が決められている。
その日は刻々と近づく。嫌だ。出たくない。

しょうがない。出るか。出ちゃった。
「嫌だ〜!」

って泣きわめいてるのがあの声だったのだ。
うん。これはしょうがないよね。

これからはもっと蝉に優しくしてあげよう。

次回の言葉は「果て」です。

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