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恐れ見よ

外国語ってもちろんいろいろありますが
まあほとんどはすぐ忘れてしまいます。
そんな中で妙に記憶に残る言葉があって
たとえば「オーソレミーヨ」とか。

もちろん理由があって、この場合は
「おお、それ見よ」に似てるから。
さらには「恐れ見よ」にも聞こえる。

そういえば「恐れ入ります」って
ビジネスではよく使いますが、
日常会話では全く使わないですよね。
もし日常で使われたらそれこそ恐れちゃう。

電話のこと

電話があまり得意ではありません。

まず、かかってくるのがいやです。
かけてくるひとは、こっちがそのとき
何をしてるのかも知らないくせに
こっちのやっていることを
無理矢理止めようとするわけです。

あなたにわたしの行動を
妨げる権利があるというのでしょうか。
しかも無理な時間にかかってくる電話は、
たいがい内容も無理なものが多いです。

全く同じ理由で、かけるのも嫌いです。
もしわたしがその電話をかけたせいで、
あなたが今、思いついて言おうとしていた
最高級のギャグを放つタイミングを
逸してしまうかもしれません。

ギャグはその8割がそのタイミングで決まる。
タイミングを逸してしまったギャグは
賞味期限の切れたまんじゅうより悲惨で、
つぶしがききません。
「またいつか使えるときがあるだろう」
なんて思って使えるためしはないのです。

チャンスの神様には前髪しかない。という
格言をあなたは知っているのでしょうか?
しかし前髪しかない神様の顔を想像すると、
かなりインパクトがありそうですね。
ボクは好きです。

礼儀知らずを持ち歩く

ハナシがそれてしまいましたが、
電話という奴はとにかく、その存在自体が
礼儀を知らないやつなのです。
そしてその「礼儀知らず」を、
なんと持ち歩けるようにしてしまったのが
携帯電話です。

電車の中でかけるどうしょうもない女子高生、
そういうことを言っているのではありません。
あなたはそうまでして、
人のじゃまをしたいのか。ということです。

携帯電話を持ってディズニーランドに。
理由はカンタン。はぐれるからです。
特にわたしのように
人がスプラッシュマウンテンに行っている間に
ホーンデッドマンションと
ダイヤモンドホースシューレビューに行きたい。
そんなタイプの人間は
とかく別行動を余儀なくされるものです。

待ち合わせ、といっても
時間がしっかり読めるものではありませんので
携帯はかなり便利です。

まわりを見るとおんなじように携帯を持って
プーさんのハニーハントの
列についている人がかなりいます。しかし、
考えてみるとディズニーランドというところは
夢と魔法の王国であるわけで、
外界とは遮断されているところが
いいところなわけです。

外の建物も
なるべく見えないように設計されていて、
一歩中に入ればここが浦安だということも
忘れてしまえるのがいいところなわけです。

公衆電話もあることはあるのですが
なるべく見えないところに
ひっそりと置かれています。
タバコなんかも
ホントは売店に売っているのですが
言わないと出してくれません。
その魔力をやすやすと打ち破ってしまうのが
この、携帯電話だったのです。

追いかけてくる

しかし、いるんですね。
こんなところにきてまで
仕事の電話をしてるやつ。

やることもなく
ぞろぞろ列ついて歩いているうちに、
ふと大事なことを思い出したのでしょうか?
それとも無粋にも休みを取ってるのに
追いかけてきたのでしょうか?
どっちにしても、この携帯という奴は、
魔女マレフィセントが考え出したとしか
思えませんね。全く…

そんななかで、
ふとこんな電話を聞いてしまいました。
携帯電話をかけたそのひとは
「あのう、恐れ入りますが」
と言って相手を確かめました。

しかし、
どうやらまちがい電話だったらしく、
ふつうなら「あっ、失礼いたしました」
と言うところ、そのひとは
「あっ、恐れ入りました」と言いました。

よっぽど恐れ入って
電話をかけたのでしょうが、
不作法な電話が多いこのご時世に、
最初から最後まで恐れ入っている
この態度には深く頭の下がる思いがしました。

「恐れ入りました」

次回の言葉は「パラダイス」です。

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