マガジンのカバー画像

Re-post Magazine

100
リポスト集。過去にポストした詩をマガジン関係なく拾って落とします。
運営しているクリエイター

2016年3月の記事一覧

少女

覗き込むように低く落ちた雲が
あの日と同じ
そんなものであたしを護れるはずないのに

厳重注意なんて聴いちゃいない
はやく窓を開けて
どよめく会場をだまらせて
私が歌い出したら時限装置が発動

指先から髪の毛の一本一本にまで
染みている
私の纏うのは清浄
正義感なんてとっくの昔に歪んでる

しなやかな動作ひとつひとつ
大衆はくぎづけ
途切れぬ視線
さあ、あなたは私を護れるのか

雨音の中で待ってい

もっとみる

アイドル

わたしのなかに埋もれる
わるい夢を発見してよ
息を止めてくちびる合わせる
そんな遊びに明け暮れた日々

未知のツールで探し出せる
機知の合図で通じ合える
そうでしょ

わたしのなかに埋もれる
わるい夢をほどいてよ
息を止めてくちびる合わせる
そんな遊びすぐ飽きるから

別の名前で呼び合える
アイコンになって狂い始める
待ってよ

それなのに
私の名前をつけた酸素が
君の眼前で燃え尽きる
なぜ救えないの

言葉で繕っても隠しきれない
この夏君に降る雨は
非公式な法でも裁けない
君を守れないの?

上手に大人になったりしないで
抗ってその羽根を守り切って
私の魔法が届いたら
その力を信じればいい

持て余すほどの花束を
君は笑って
夜も朝も吸い込んだ
たどり着いた屋上で
きっと一緒に透明になろうね

無題

健気な肌を裂いて
馬鹿になりたくて死んだ

意図した静寂を裂いて
王子様が来たから死んだ

彼を許す理由を探してた
特許を取り忘れた言葉

みんな、聞いてよ、兎にも角にも
入浴剤みたいなにおいの私

だって今夜が1234番目
何を信じるか選びなよ

有名税払うよ
だから連れて行って傍まで

有名税払うよ
だから甦らせて明後日

私の月が欠けていくのは
貴方が時々感じるむなしさの所為

恋の向こうにあるものが
ただの愛に他ならないと信じているのは誰

肺に咲く睡蓮は時間を知らない
私のための魔法は星屑になって増え続ける

貴方の裏切も燃え尽きて
じきにその目が私の月になる

夢のなかで許される接続
2行目を捨てて
思いつく限りのわがままを並べて怒らせたい

水鉄砲で壊せない
貴方は消費されるだけ

水面下で結ばれる糸
結句を書いて
完璧なまでに嫌になるほど甘やかされたい

掴めるものは何もない
貴方は共有されるだけ

私を安心させるため
時折浮上して息を継いでよ

眠る愛情を浪費して
プライバシーを消費して
私達はひたすらに消耗するだけ

深海で泣いたら私には分からない
地熱みたいな恋を探して色を変える君
疲労する前に見つけるから

だから時折浮上して息を継いでよ
見失って二人はぐれないように