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Re-post Magazine

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リポスト集。過去にポストした詩をマガジン関係なく拾って落とします。
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2015年5月の記事一覧

肉体のなかに夜を隠して
精神だけでものを考える癖が
たびたび裏目に出るから
本当のことをいうのをやめてしまった

本能だけで求め合うような関係の純度を
わたしは信じないけれど知っている
絶対に誰かが傷つかねばならない

彼が童心を埋めた場所がうるさく光るから
噛み付いた

君の目から星の死骸がひとつ零れ落ちた
そのことにあたしはすっかり怖くなって
君の目に映ったら終わりなんだと知った

毒のないものはただ意味もなく正しいだけ
刺をもつものが人を惹きつける

みんな悲劇に舌なめずり
ちゃんとしてないあたしを責めないで
早起きなんてしないわよ

無題

くちべたな人
今日が誕生日
心の奥まで入り込みたい
知らないことなんて無くなるほど

不可能は時々美しい
絶望の色も
不確かな未来も
どこかちょっと美しい

あの麻酔薬さえあれば
簡単に手に入る
たびたび句読点を間違える彼
春のせい
それも春のせい

くちべたな人
今日が誕生日
時間の無い世界で待ってる
これまでのすべてを持ったままでおいで

無題

先行する部隊
愛する瞳を撃ち抜く
風が教えてくれるのは
スカートに隠した罪
墜落するのは私

妙に優しい
やけに甘い
可笑しい君は
やっぱり駄目か

戻れない道
恋する春を逃げ切る
健やかな人が笑う
ほっぺたに溜めた嘘
陥落するのは君

なめらかな表面を
撫でるように話して
可笑しい私は
やっぱり駄目だ