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【所見】「論語と算盤」 #14

1.序章


怠惰により、下書きしてから1ヶ月以上が経ってしまったが、あんま無理せずに内容を一つに絞って投稿する。

サブタイトルは、

渋沢栄一から学ぶ、手段の目的化防止。

とする。


本を読む際は、必ず最新の物を選ぶようにしている。
発行年を見て、3年ほど前であるなら読むのを辞める。
なぜなら、情報が遅れてしまっているかもしれないから。

ただ、この本に限っては、いつ読もうが関係無い。むしろ、どの時代においても読むべき内容。


本書は、人間は「論語で人格を磨くこと」 と 「資本主義で利益を追求すること」 の両立が大切であると説いた渋沢栄一の教育論である。

論語は孔子とその弟子達の言行録。
2500年以上も昔の、最も古くからある書物であり、他の多くの書物や格言の大元にある。

時代が変わっても変化しない人間と人間社会の本質を説いている。

人としての在り方を考える際に、教科書となるのが、この論語。

一方で、資本主義の根底にあるのは、金持ちになりたい、利益を増やしたいといった欲望。
しかし、その欲望は時折暴走することがある。
例は上げるまでも無い。

渋沢栄一はこの暴走に歯止めを掛けるべく、論語を重要視した。



2.渋沢栄一とは


渋沢栄一は、江戸(幕末)・明治・大正・昭和を生きた実業家。

簡潔には、めっちゃ色んなことをしたスゴい人。

倒幕を企てるもヒョンなことから幕府側へ、徳川慶喜の家臣となる。
幕府からパリ万国博覧会を視察するよう指示を受け、フランスに渡航。
欧米諸国の強さは商工業の発達にあると感銘を受け、江戸幕府の崩壊後、実業家として活動。
日本初となる株式会社を設立し、起業家としてみずほ銀行や東京海上・帝国ホテル・キリンビール等、約500社もの会社の設立に関わり、「日本資本主義の父」と呼ばれる。

2024年の新1万円札のデザインに選出されたこともあり、非常にホットな人物。
本屋に行くと、渋沢栄一ゾーンを見かけることも多い。

流石に名前を聞いたことはあるが、「論語と算盤」を読んだことがある人は、そう多くないように感じる。

みずほ銀行で働く人は是非とも読むべき。



3.学問の目的 (第9章 教育と情誼より)


そもそも現代の青年は、学問を修める目的を間違っている。『論語』にも、
「昔の人間は、自分を向上させるために学問をした。今の人間は、名前を売るために学問をする」
という嘆きが収録されている。これはそのまま今の時代に当てはまるものだ。今の青年は、ただ学問のための学問をしている。初めから「これだ」という目的がなく、何となく学問をした結果、実際に社会に出てから、
「自分は何のために学問してきたのだろう」
というような疑問に襲われる青年が少なくない。
「学問をすれば誰でもみな偉い人物になれる」
という一種の迷信のために、自分の境遇や生活の状態も顧みず、分不相応の学問をしてしまう。その結果、後悔するようなことになるのだ。
だからこそ、ごく一般の青年であれば、小学校を卒業したら自分の経済力に応じて、それぞれの専門教育に飛び込み、実際に役立つ技術を習得すべきなのだ。また高等教育を受ける者でも、中学時代に、
「将来は、どのような専門学科を修めるべきなのか」
という確かな目的を決めておくことが必要になってくる。

第9章 教育と情誼
P193〜194より抜粋


これは、大正時代に書かれた文章。

他の要約でもよくピックアップされているが、現代の若者には刺さる内容。勿論、自分もその内の一人。


私もそうだが、多くの人が「進学すること」を目的に勉強をしてきたと思う。
そこからいざ選択を迫られて、「やりたいこと」を見つけられるわけがない。

「とりあえず大学で考えるわ〜。」「一旦就職して経験積むわ〜。」と、ありきたりな考えを持つには自然な環境だった。

自分は一度も受験をしたことがないため、必要最低限の勉強しかしていない。
(高校→大学がエスカレーター式で、そもそも高校入学は書類審査のみ)

大学受験に挑む自信も勇気もなかった…

幸いにもエスカレーター(感覚的には階段)で大学へ進学できたものの、学びは相当薄い。

それはさておき、学歴が重要視される日本において、受験には大いな意味がある。
大学合格のために勉強をすること自体は決して無駄ではない。

しかし、本質的なところで考えると本書にもある通り、「学問のための学問」に意味はない。
いわゆる手段の目的化。


社会人になってから、特に転職を経験してからは、目的を持った学びの毎日である。

今までは、知的好奇心を原動力に学ぶことが多かったが、今では明確な目的を持って学ぶことが多い。
将来を明確に描いている訳ではないが、無駄な勉強(仕事)はしたくない。


案の定、この本全てを読むことは挫折してしまってはいるが、
人生の分岐において読み返したいから、この本は売らないでおこうと思う。



以上。

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