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数年前、ボクには無事に年を越せそうもない年があった


よく落語とか時代劇とかで「いやぁ、今年も無事に年を越せましたなぁ」みたいなセリフが出てくる。

これ、何気なく聞き流す言葉だけど、実はわりとシビアな言葉でもある。

昔(江戸時代)は多くが「ツケ払い」であり、毎月月末にまとめて支払う習慣があったらしいのだけど、お金がない場合、支払いを待ってもらえた。

でも、毎月の支払いは待ってもらえても、大晦日には必ず一年分の支払いを終えないといけない、という慣習があったらしい。

つまり、本来、たまった借金の支払いをしなければ年を越せない、という意味で使うわけだ。


5年前の2014年、実はボクもそういう状況にあった。

代表をしていた震災支援団体が(あるトラブルによって)抱えてしまった大きな未払いが生活に深い影を落とした。年末にどうしても支払わないといけない大金が残っていた。自己資金で補填しようにももうそんなに残っていなかった。

これは切り抜けられないのではないか、と戦慄する日々だった。
マジで追い詰められた。
あんなにきつかったことはなかった。

あのころは毎朝必ず近所の神社に手を合わせに行っていた。
まったく眠れずに早朝を迎え、這うように神社に行き、すがるように手を合わせた。

そのくらい追い詰められていた。

言葉そのままの意味で「よく生き延びたな」と思う。

あの年末の30日だったかに実感した「あぁ・・・これでなんとか無事に年を越せるかもしれない・・・」という限りない安堵は、いまでもリアルに覚えている。

普通に年を越せる幸せ。
すべてのことに対する深い感謝。

特に、最後まで逃げずに残ってくれた友人たち数人に対する心底からの感謝が感じられた晦日・大晦日だった。


それからしばらくは、あのつらさを「忘れよう、忘れよう」とした。

とにかくつらかったからね。

でも今は「忘れまい、忘れまい」としている。


ボクは、あの体験を絶対に忘れてはいけない。

絶対に。

そのことを、大晦日である今日、もう一度自分に厳しく言い聞かせたいと思う。


さて。
今年も今日でおしまい。
みなさんはどんな1年だったでしょう?

今年のボクの三大ニュースは

ファンベースカンパニーという会社を仲間たちと創業した
1000日チャレンジ開始(食物アレルギーとの闘いの日々
・ラグビーワールドカップ日本大会開催(Best8!)

の3つ、かな。

たくさんのことがあったけど、結局この3つかな、と思う。

2011年に電通を辞め、独立し、2015年からは個人でやってきた。
そうやってどんどんダウンサイジングしていったのに、新たにそれなりの規模の会社を創業するとは思いもしなかった

しかも、野村HDという巨大な会社と、アライド・アーキテクツという親しいIT系の会社と佐藤尚之個人の三者合弁。

人生、思いも寄らぬ方向に転がるなぁ。

でも、転がっている限り、苔は生えない。

それが大切。


そのニュースだけだと「未来が始まった2019年」ってことになるんだけど。

残念ながら、2018年3月に突然になったアニサキス・アレルギーにまだ振り回されている。きっと来年も再来年も振り回されるのだろう。

とにかく、毎日、他人の想像を遙かに超えて闘っている。

でも、きっと、これが未来の何かにつながっている。

この経験も、そのうち「忘れまい、忘れまい」と思う日がくる。きっと。


ということで、今年ももう終わるので、今年2019年に亡くなった方々にお別れを告げて終わりたいと思う。

1月頭から、ボクの人生となにかしらの交差があった方々(直接知り合いじゃないヒトをたくさん含む)を書き出してみよう。

本梅あさみ、兼高かおる、天地総子、梅原猛、市原悦子、ミシェル・ルグラン橋本治、ジェームス・イングラム、岡留安則、マッチ・ニッカネン、堺屋太一、佐藤純彌、北尾光司、ブルーノ・ガンツ、山田スミ子、佐々木すみ江、カール・ラガーフェルド、スタンリー・ドーネン、ドナルド・キーン、アンドレ・プレヴィン、砂川しげひさ、ザ・デストロイヤー、須田一政、神戸勝彦、内田裕也、織本順吉、白石冬美萩原健一、近藤昭仁、相澤英之、ケーシー高峰、モンキー・パンチ、小池一夫、福岡翼、小出義雄、黒姫山秀男、遠藤ミチロウ、京マチ子、ドリス・デイ、関根伸夫、加藤典洋、木村進、降旗康男、横山たかし、田辺聖子、ドクター・ジョン、ウィリー・ウィリアムス、千家和也、程一彦、高島忠夫、リー・アイアコッカ、ジョアン・ジルベルト、竹村健一、ジャニー喜多川、天野之弥、純アリス、ルトガー・ハウアー、瀧本哲史、ピーター・フォンダ、池内紀、安部譲二、長谷川慶太郎、ロバート・フランク、キャロル・リンレイ、ジーン・バッキー、鈴木エドワード、逆鉾昭廣、ジャック・シラク、佐藤しのぶ、ジェシー・ノーマン吉岡幸雄金田正一和田誠、中山仁、吾妻ひでお、緒方貞子八千草薫、木村梢、マリー・ラフォレ、眉村卓、木内みどり、松本ちえこ、中曽根康弘、中村哲、梅宮辰夫、アンナ・カリーナ、シド・ミード


友人の本梅あさみさん以下、特に感慨深い方を「太字」にしてみた。

みなさんのおかげで人生が楽しく深く彩られました。
ありがとうございました。


ということで。

みなさま、今年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。

良い年をお迎えください。



古めの喫茶店(ただし禁煙)で文章を書くのが好きです。いただいたサポートは美味しいコーヒー代に使わせていただき、ゆっくりと文章を練りたいと思います。ありがとうございます。