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人に頼む技術ーコロンビア大学の嫌な顔をされずに人を動かす技術

【今日の読書旅】Day163

人に頼む技術ーコロンビア大学の嫌な顔をされずに人を動かす技術
ハイディ・グラント 著 徳間書店 2019年


なぜ人は助けを求めたがらないのか?

ほんの些細な頼み事をするのを想像するだけで、人はひどく不快な気持ちになる。

にもかかわらず、現代の職場では共同作業やサポートが不可欠。誰かのサポートがなければ仕事は成し遂げられない。

同僚や仲間から助けを得ることだけが重要なのではなく、リーダーは、メンバー同士が自発的に助け合うような雰囲気をつくらなければならない。それがマネジメントの核心。

❶[3セレクト]

①なぜ頼み事をするのは難しいのか?

・誰かに頼み事をするのがなぜこれほど苦痛なのかを理解するには、人間の脳の仕組みを知ることが役立つ。

新しい科学分野である社会神経科学は、脳が筋肉の痙攣や爪先をモノにぶつけるなどの身体の痛みを処理するのと同じような方法で、他者との関わりから生じる快感を処理している。(社会的痛み)


UCLAの社会神経科学者ナオミ・アイゼンバーガーは、社会的・身体的な痛みはどちらも痛みと報酬の伝達を司るオピオイド受容体が最も高密度で結集している「背部前帯状皮質」と呼ばれる脳の領域に関わっていることを明らかにした。

人に拒絶されたり不当に扱われたりすると、頭痛の時と同じようにこの部分が活性化する。

【実験】
3週間、毎日ミリグラムの鎮痛剤を服用した被験者群の社会的苦痛が、偽薬を服用した対象群に比べて大幅に減少したことを明らかにした。心の痛みと二日酔いは同時に治療できる。

・人は他者に何かを頼む時、無意識にそのことで自分のステータスが下がると感じやすくなる。

相手がこちらのリクエストにどう応えてくれるかがわからないので、確実性の感覚も下がる。また、相手の反応を受け入れなくてはならないので、自立性の感覚も低下する。相手に「ノー」と言われた時、個人的に拒絶されたように感じることがあるため、関係性への脅威も生じる。「ノー」と言われた時に、相手との関係に特別な公平性を感じることは滅多にない。


②私たちは頼み事の方法を間違っている

誰かに助けを求めることは、本質的な矛盾を抱えている。

自発的な気持ちで、熱心に相手を助けようとする時、人は良い気分になる。一方で、他者にコントロールされていると感じると、この気分は消え去ってしまう。

つまり、誰かを助けることで良い気分になるには、自ら望んで支援の手を差し伸べているという、主体性の感覚が不可欠である。

なぜ、私たちは、自分を助けてくれた人に、良いことをしたという気分を味わせることができないのか?

その理由の1つは、私たちが頼み事をする際、相手に貸をつくったような気分になるからだと考える。

自分の要求に対して、相手に自主的に支援の手を差し伸べてもらうには、そのための適切な状況や枠組みをつくらなければならない。必要なのは「レインフォースメント=強化」

レインフォースメント:ある種の結果や報酬は人間を特定の行動に関与させる可能性を高める:人を動かす力(この本の中での定義)

③頼み事をしたら嫌がられるかもしれないという誤解

私たちが思っているよりも約2倍、人は誰かを助けたがっている。頼み事のないような、助けるがわにとって「負担が大きい」「苛立ちを感じる」「違法かもしれないと思われる」という場合でも。

なぜ頼み事をする人は、成功の見込みを低く見積もってしまうのか?

主な原因は視点の置き方にある。人は、頼み事に同意してくれた相手が、自分のために費やすであろう労力の量も過小評価する。相手が自分のために真剣にて助けしてくれるわけなどないと考えてしまうからだ。

【人が何かをするときの動機】(心理学理論)
動機=成功への期待×成功がもたらす価値

私たちが何かをしようとするときには、成功する可能性の見込み、と成功したときに得られるモノの2つが動機として作用している。

助けを求めることに当てはめると、頼み事をするときの動機づけは、相手が「イエス」という確率と、どのような必要な助けを得られるかという2点についての予算の産物。そして、私たちはこの2つをどちらも過小評価する。

人は、親切でありたいと考えている。

想像しているよりもはるかに多くの人たちが、他人に親切にしたいと思っている。


+1:必要な助けを得るための4つのステップ

「ちょっとお願いできますか?」で協力確率は大幅アップ!

事前に「お願いしたいことがある」とたずねてから頼み事をすると、相手が協力する確率は大幅に高まる。

約束をすることで、「ノー」ということへの抵抗が強まるから。

【人の心理】
「認知的不調和」のために、一度「イエス」といった相手からの依頼には「ノー」と答えにくくなる。「私は人助けをする、親切な人間だ」という自己認識を保ちたいと考えるから。(例:フット・イン・ザ・ドア)

「返報性」人は自分が得たものと同じものを与え、与えたものと同じものを得るべきだという考えが、人間心理に強い影響を及ぼす。(目には目を、人には自分がしてもらいたいことをしなさい、お互い様、自業自得)返報性は、世界のあらゆる文化に深く根付いている規範。

【助けを得るための4ステップ】

1、助けて欲しいと相手に気づかせること
2、助けることを歓迎すると相手にわからせること
3、自分がこの人を助けるという責任感を抱かせること
4、相手も忙しくしていることを忘れないようにすること


❷[マイエピソード]

 わたしは、人生の中でかなり長い間「人に頼み事をする」なんて格好悪い!と思って生きてきました!!

頼み事をするなんて、むず痒い。こんな思いをするなら、一層のこと「自分でやっちゃえ」と思っていました。

でも、さすがに年をとってくると・・・「1人でやる」のは難しいことに気づく。

と、同時に「1人でやっている人ほど格好悪い」と、心のどこかでずっと思っていた”全部自分で成し遂げられる人は素晴らしい”という観念が崩壊しました。気づかずに続けていたら、ただの”頑固者”になってしまうところでした。今年はかなり人にお願いしていると思う!


❸[今日からのアクション]
これからもどんどん人に頼み事をする!

このnoteを書いている人について・・


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