私が愛しているのは、梅干しです。
梅干し、愛してる。
我が家には「命の梅干し」がある。
6歳の頃から食べ続けている、木更津の梅干し。
私は小学生から緊張しいの不安症で、1年生から給食が恐怖だった。食べられなかった。食べると吐いた。みんなの机の前で、吐いた。だから私は、この梅干しを首から下げ、においをかいだ。この酸っぱい梅干しの香りをかぐと、心が落ち着いた。毎日首から下げて学校へ行っていた。
4時間目近くになると、どこからともなく給食のあの甘ったるいニオイがしてくる。それだけで不安が増大し、ドキドキして、苦しくなり、吐きそうになる。そのたびに、首から下げている梅干しを引っ張り出して、こっそり匂いを嗅いで、胸元にまたしまう…という女子だった。誰も気づいてなかったと思うし見ていなかったと思う。
不思議なことに、梅干しは本当に私を落ち着かせてくれた。
大人になっても、緊張する仕事のときや、出張で海外に行く時は必ずこの梅干しを持っていった。大学生の頃、一人旅をするときも、まっさきに持っていこうとおもったのは、現金と梅干しだった。
梅干しは、食べるのも嗅ぐのも大好きだ。
梅干しは私に平常心や安心感をくれるスーパーマン的存在。
体も調子が良くなる感じがするし、薬でもある。
数年前、双子の子供を育てている最中にインフルエンザにかかり、それでも必死で子育てしてたら水飲むのを忘れて脱水症状で全身が震えてガタブルしてしまったとき、ポカリとか持ってきてくれた母に「違うの…お湯に梅干し入れて潰したやつもってきた」と頼んだ。沁みた。
車酔いも梅干しが助けてくれるし。
高校生で一ヶ月ホームステイに行った時もたくさん詰めて持って行ったし。
ところが、梅干しを作ってくれていた、君津のおじさんが、山から落ちて寝たきりになってしまったという。この梅干しがもう食べられない危機。