見出し画像

ミステリー

春一番に花輪倒れて火葬場のトイレに父が入れ歯忘れて 藤島秀憲

『ミステリー』

 詞書に「平成十一年 母が死んだ」とある。
 倒れた花輪も、トイレの入れ歯も、映像としてインパクトがある。それに対して何の感想もまじえず、「〜て」「〜て」と、二つのハプニングを並立の形で表現している。それによって、感情が麻痺したような感じが伝わってくる。