銀杏の鼻(塔2023.2月号より)

銀杏の匂い残れる鼻のまま暗き御堂の仏像に近づく 徳重龍弥

以下、花山多佳子選歌後記より引用
「銀杏の匂いになった鼻を近づけていくような感じが面白い。暗い御堂の仏像に。妙な雰囲気がある。」引用終わり

銀杏はクセの強い匂いだ。匂いの粒子が鼻の粘膜にこびりつくような気さえする。銀杏の鼻になる。

暗い御堂の仏像と、銀杏の鼻。二物の出合いがある。