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旅先の時間

岩国の一膳飯屋の扇風機まわりておるかわれは行かぬを 岡部桂一郎

『戸塚閑吟集』

 旅をすると日常の時間の流れから、切り離された別の時間に身を置くことになる。旅先で立ち寄った場所の時間が、日常の時間と同様に流れているとはとても信じられない。
 この歌の扇風機の回転は、時間の進行を表しているのではないだろうか。時間とは、私という認識する主体があってはじめて、存在するものだ。