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<008>「200万円で家を買おう!」をこころみて -最終回-

2018年、自然の中で暮らす生活へ動きたいな、と思い始めたのと、誰も使っていない家が増え続けていて、それが問題になっていると知って、新しい家を建てたり買ったりするより今あるものを使った方が良いなと思ったタイミングがかさなり、「空き家問題」ってものを知りたくて、株式会社LIFULLが主催している空き家の基礎講座を受講しました。

 ここで学ぶまで、「空き家問題」って、自分で所有しているものを手放したくない人がいるのと、売り出されている金額で購入できる人が減ってきている、または新築の方が安い、または新しいもが欲しいという価値観、あたりの単純な問題だと思っていました。もちろんそんな単純な事もあるけれど、実際はもっと法的だったり、ありえない条件だったり、想像をはるかに超えた深さがありました。

 今回の講座の講師で、10年以上前から空き家問題について取り組んでいる空き家コンシェルジュの有江 正太さんは、感情的問題から家族問題、法的問題まで全てを受け止めて解決方法を考えていて、「こんな人がいるんだ!」と驚いて感動。有江さんの話を聞いて、「空き家問題」は「人間問題」だなって、実感しました。
 この講座に参加していたのは、空き家問題に関わっている自治体の担当者さん、不動産業、建築業の方で、肩書きがデザイナーな私はちょっと場違いな気もしましたが、モノづくりを仕事としている身としては、知るべき情報で、とても勉強になりました。何より、ここで出会った山梨県の自治体の方がきっかけで、私は甲州市で空き家を探すことに決めたので、今となっては運命の出会いの場所です。この講座を受講して、私も空き家問題に何か関わる事をしたいと思い始めました。

 私はもともと山梨が好きで良く遊びに行っていたので、この講座で山梨が空き家率全国1位だと知れてラッキーでした。東京から近いし、人気な別荘イメージがあったので、高いだろうと最初から候補外地域でしたが、時代は変わっていました。
 物件探しで山梨をまわると、「なんでここまで放っておいたの?」という空き家がたくさんありました。巨大なゴミです。しかもそのゴミをまっさらにするには数約万円かかる、どうにもできないゴミ。日本の成功体験である高度経済成長の昭和が、こんな事になっているんだなぁと、自分の無知を感じました。自分が住みたい場所で家を探していただけなのに、地域の問題とか、政治の問題とか、法律の問題とか、家づくりの問題とか、いろんな事を知るきっかけになって、面白いです。私にとって、この「200万円で家を買おう!」プロジェクトは、今後、モノづくりを仕事としていく上で、とても有意義な経験になりました。実体験からのアイディアは、良いデザインにつながるので。

 2018年に自然の中で暮らす生活へ動きたいなと考え、2019年夏から家を探し始めて、2020年に購入。2021年6月の引っ越しまでの約1年間、購入した家の掃除に通い、現在2021年7月。私たちが空き家を買おうと思いついた頃と今では、さらに大きく変わってきているのを実感しています。仕事とか、生活とか、気分とか、家族とか、社会とか、タイミングってそれぞれにあるんだなぁって思います。

 「結婚して、子供をもって、35年ローンで家を建てて、家族が乗れる車を買って」っていう大昔の広告に惑わされなければ、それぞれが思う「家」と「暮らし方」が叶う、自分に合った場所に出会える気がします。「自分が好きな場所ってどこだろう」って、日本地図を広げると、引っ越し先はたくさんあるので!
 ちなみに私たちは、この場所をベースキャンプ地として、次の暮らしたい場所(地球儀の中からどこでも)を探しはじめています。

追伸 ほぼ空き家となった中古物件(居抜きゴミ付き)を買って、実際に引っ越してみて、自分たちの生活をしながら、人が汚して古くなった家で暮らすのは、想像を超えるストレスです。なので、「暮らしながらリノベーションをする」っていうのは、すごく大変なので、自分が思っている以上に覚悟が必要だという事を学びました(涙)★現在自分達だけでリノベーション進行中です



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