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『多様性の科学』はたいして科学してなかったぞ?

初めの曜日別テーマ宣言を完全に無視してますが。今日は読書ログです。さっさと書かないと忘れそうだったので書く。そう最近だと「多様性の科学」読みました。

掲題の通りですが、期待してたほど、科学してなかったなぁというのがまず第一の感想。

1章と2章は割と楽しく読んでたんですが、3章、4章あたりから論理の飛躍が目立っていた気がします。

エビデンスの選び方も論文の読み取り方も「それ本当に?そういうふうに言い切れるの?」って思うことがあって、結構突っ込みまくってました。

Kindleでメモ取るの結構大変よね

5章は全体的に面白かった。多様な視点でものが見れなくなっていくメカニズム(個人と集団の両方)と、それを瓦解させるための方法(まずは信頼関係の構築から)が分かりやすかった。普段SNSの様子を見てて、なんとなく感じてた事をきちんと言語化してもらった感じです。

「6章 平均値の落とし穴」はうーん。いわゆる「個人差の問題」ですよね?人間は個人差があり、パーソナライズした方が良いケースもある。というだけですよね?多様性と何が関係が??

「7章 大局を見る」では、かなりツッコミの嵐でした。にわたまの話ではあるが「多様性から全てはじまった」みたいな感じの論調が言い過ぎぃ感バリバリあって私は受け付けられなかった。これは「多様性」ではなくて、広い意味での「人間の社会性」なのでは?

いずれにしても「多様性は素晴らしい」と主張するために、完全にバイアスがかかった目線でエビデンスを集めてる匂いがぷんぷんしてた。というのが正直なところです。

この著者にとっての多様性の定義が曖昧だったのもイマイチな点ですかね。

そもそも多様性の話って進化論とは切っても切れない関係なんですよ。もちろん7章で触れてるけど、あまりにお粗末です。

7章で多様性があったからこそ人間はここまでこれた!と言ってるのにもかかわらず、自然発生的には人は画一化しがちだから、意識的に多様性になるようにしなきゃあかんよ?って言ってるのよ。

すごく矛盾してると思いません?

多様性がそこまで素晴らしいものなら、自然発生的に集団としての多様性が維持されるのでは?それが自然淘汰なんです。なのに、なぜ、人間は画一化しがちな集団を形成してしまうのか?そこにはなんらかの理由があると思うのですよね。心地よさとかの心情論ではなくて、もっと合理的な何かです。そこにもう一歩踏み込んで欲しかった。

あと、人間の多様性を語る上で、ADHDやASDなどの発達障害系の話に触れないではすまないと思うのに一切触れられてないのも気になりました。(ちなみに、私はいわゆる発達障害が淘汰されてないのにはなんらかの生物学的な意義があると考える派です。心理学やってると「障害ってなんだろうな。」って思うこと多いんです。)

って、なんだか、批判ばかりになってしまったな。

2回目読んだらまた印象が少し変わるかもしれませんが、少なくとも、私が期待した内容はここにはなかった。。ということで。

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