(過去の連載を転記します)妊娠中に夫の不倫が発覚! 離婚した場合の親権について弁護士が詳しく解説

初出:wezzy(株式会社サイゾー)
夫婦や家族の問題解決を得意とする佐藤正子弁護士が読者からの相談に分かりやすく回答するこの連載。第4回目は、「妊娠中に夫の浮気が発覚。離婚した場合、これから産まれる子どもの親権はどうなるの?」と悩む妻からの相談です。

 こんにちは。妊娠中に浮気されると恨みが深いですよね。こちらは、つわりでしんどかったり、しょっちゅう病院へ行ったり、不安だらけ……。そんなときに相手はよそでそんなことをしていたなんて、つらいですね。いろいろ眠れないくらいの怒りや悲しみがあると思いますが、まずはお体を大事にしてください。

 離婚されるのでしたら、まずは必要なのは別居です。別居してどこに住むか決められましたか? 相手が出て行ってくれるのであれば今の家に住むこともできなくはないですが、無理矢理追い出すことは非常に難しいです。また、子どもさんをひとりで育てることは、特に最初の(少なくとも)3カ月くらいは3時間おきに起きなければならないのでかなり体力的に厳しいと思います。となると、今の家に住み続けるとすれば誰かに助けてもらえるか、そのあたりを検討してください。

 親権についてですが、親権者になりたいということでよろしいでしょうか。誰が親権者になるか決める方式は、離婚の形式によって異なります。離婚には、1 協議離婚、2 調停離婚、3 裁判離婚があります。1の方式を取る方が一番多いですが、1を飛ばして2にいくことはできます。ただ、原則としていきなり3にいくことはできません。調停は裁判所で行いますが、話し合いの一種ですので、相手方のいる場所がわかっている場合などは原則、相手方と話し合いなしに離婚はできないことになります。

1:協議離婚の場合、親権は自由に決められます。

2:調停離婚の場合も、裁判所で調停委員を間に挟んで話し合いで決まりますので、お互いの意思が合致すれば、合致した人が親権になります。ただ、主として監護する方でない方が親権者になるという合意をしようとするときには、当にそれでいいのかと裁判所から注意喚起はされるかもしれません。

3:裁判離婚の場合、親権を争えば裁判所が最終的に親権者を決めます。子の福祉の観点から、(年少者の場合は特に)主たる監護者に離婚後も親権が認められることが多いです。

 3の場合に備えて、自分が主たる監護者となるよう、相手方の手助けを受けるのはお金の面だけにしましょう。ただ、子どもさんが生まれたら相手方の希望があれば月1、2回程度は会わせた方が親権者に選ばれやすいです(DVや虐待などがあった場合は面会交流をさせられないことがあるとは思いますが、今回は字数の関係で省かせてください)。

 子どもさんの養育費はもらうべきと考えますが、相手方の手助けなしにこれから生きていくことができるよう、新たな自分の生活を設計してください。
2021.10.22

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