『コロナ後の世界 ーいま、この地点から考える』読了
本日は往来堂書店で買ったコチラを読了。
付箋にバラ付きがあるのは、評論集なので仕方がない玉石混交。
珠玉の論考、社会学者・宮台真司師匠からの引用。
「倫理は、事実として存在する、許せないという感覚の共同主観性だ。だから倫理は僕たちの生活形式を基盤としてきた。許せないという感覚が、自分一人のものではなく、皆のものであるべきだと理解された時、個人の義務感が社会の倫理に昇格する。だから倫理は単なる義務感ではない。個人の義務感の対立可能性を前提とした貫徹への志向だと言える。」
次点、経済学者・松尾匡氏から。
「(東京財団が意図するところは)政府が発行した新規国債を日銀が買い取れば、大衆や中小零細企業を助けるための政府支出ができる上に、金利低下で円安になるため国内製造業には有利となる。
(日銀に)ETF(=TOPIXの株)や生株だけを大量に買えというのは(中略)大企業を直接優遇することに加えて、日本株が上がって首尾よくいけば円高要因になり、中小零細企業の淘汰にもつながってちょうどよい、とすら思っているとも受け取れる」(また東京財団と政府の奇妙な意志の一致を指摘)()内、佐藤挿入。
同次点、政治哲学者・宇野重規氏から。
(『良き統治』(ピエール・ロザンヴァロン)の「理解可能性・統治責任・応答性」から「統治責任」について)
「今回のコロナ対応については、何がベストかわからない状況で、手探りの模索が続いた。それだけに、最終的な判断を行った首相や自治体の長の責任はきわめて大きかったといえる。判断の是非によって、場合によっては職を辞する覚悟がはたして、彼らにあったのか。事後的な検証が必要であろう」
佳作は、心理学者・斎藤環氏から。
(コロナ・ピューリタニズムについて)
「ピューリタンとはイングランドのカルヴァン派の呼称だが(中略)信仰を内面だけの問題とせず(中略)禁欲的な生活を要求され、飲酒・ダンス・トランプ・姦淫などは禁止され、違反者は厳しく罰せられた。私にはパンデミック下の人々の行動変容は、まさに原罪意識と禁欲に方向付けられているように思われた」
世界市民
佐藤学