染物のまち、新宿区中井<その二>
昨日の新宿区中井散策の後、ポカポカする日差しを浴びながらしばらく妙正寺川沿いに歩く。
程なく”林芙美子記念館”の標識が。確か染めの小道スタッフの方も「少し離れていますが」と添えながら教えてくれていた。
学生時代に訪れた広島県の尾道で林芙美子さんの石碑を見たというおぼろげな記憶が。
後で故森光子さん演じる”放浪記”の作者と聞いて、そうだったのかと思うほど薄っぺらい知識。
とりあえず妻と向かってみることに。
住宅街の道路沿いに広がる大きく個性的なマンション(後で島津製作所創設者の娘さん所有の土地だったと伺う)を過ぎたところを右に入ると、坂道の中程に記念館の入口がある。
その日はイベント期間中だったのでなんと80円で入館できた。(普段は150円!)
受付の方達もウェルカムな印象。
せっかくなのでボランティアガイドさんに説明をお願いした。
これは大正解、お話を聞かなければわからないことばかりだったので。
お勧めします。
林芙美子さんは昭和26年に47歳で心臓疾患で早世されたのだが、この記念館(=住まい)は昭和16年、まさに戦時中に建てられたものらしい。
売れっ子作家として成功した彼女の特別なこだわりと住宅建築研究の成果とも言えるこの平屋の建物には驚くばかりの先進性が体現されている。
キッチン、風呂、クローゼット、壁面収納、今は当たり前の女性目線の様々な工夫はもちろん、竹好きの彼女のこだわりが建物内部から縁台まで随所に見ることができる。
このように素晴らしく彼女が過ごしやすい家に仕上がっているのだが、残念ながら10年しか住むことができなかったのは誠に残念。
ご主人(画家)はその後長く住まわれ平成元年にお亡くなりになったとのこと。
45年も住んでいる東京には、まだまだ知らない物語と魅力が至る所にある。
面白さは尽きない。
おしまい
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