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家内の命日

今日が家内の命日。

正確には、最初の家内の。

ちょうど10年になる。

あの時一人で看取った病室を今日も通勤途上に見上げる。

家内は6歳年上。

当時の家内の年齢を超えてもう4年になる。

家内が残してくれた分もしっかり生きることができているだろうか。

漫然と過ごしているだけではないのか。

「絶対に元気になる」。

「また仕事をする」。

そうひとり強く思いながら旅立ったのは、さぞかし無念だったことだろう。

僕はそれが無理であろうことを冷静に理解せざるを得なかった。

最期の「ありがとうね」は聞けなかったが、「ありがとうね」はたくさん伝えた。

届いてないかもしれないが。

僕は順調に再婚もでき、今はきっと幸せだと思う。

家内の分も生きる、が正しいのか、家内の分もなんとか生きてこれた、が正しいのか。自分が旅立つときにわかるかもしれないし、わからないかもしれない。

わからなくてもいいかな。

これから夫婦ふたりでしっかりと歩ききりたい。

命日に改めて思う。

つづく

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