ミネルバ大学リーダーシップ講座(1)
ミネルバ大学のリーダーシップ講座とは
ミネルバ大学というのは、(私の理解では)サンフランシスコに拠点のある、オンライン授業を中心にした、実践場面で使える知識を実際に使いながら学ぶ大学。その大学の「リーダーシップ講座」を3か月間という短期間で受講している。プログラムに参加しているメンバーは16名で全員社会人だ。ここでは、次世代型のリーダーシップの考え方の基礎を学んでいる。「次世代型」と書いたのは以下のような前提があるからだ。
全11回の授業で、「複雑系のリーダーシップ理論」「チームを率いる対人知性」「不確実性を克服しイノベーションを推進する」という3つのユニットを学ぶ。このnoteでは復習もかねて、今回のリーダーシップ講座で学習した内容の一部を書き留めておこうと思う。ここで紹介する内容は、①プログラム提供者から了解をとったプログラムの概観と、②教材として使用したものの中で一般公開されているもの、③自分自身の気づきや学びで構成する。
学習科学を学ぶ
「研修を受ける」「学ぶ」と言った時に、私たちはどうしても「修養型」のインプットの学びをイメージする。しかし、ミネルバの学びはアウトプット型の対話型の学びが中心だ。個人の「学習観」をインプット型からアウトプット型へ変えるために、授業の最初にまず学習科学を学ぶというパートがある。16の学習科学原則(Kosslyn,2017)では、①徹底的に考える ②繋がりの作成と使用 に分けて紹介されている。Building the Intentional University: Minerva and the Future of Higher Education (The MIT Press),Kosslyn (2017)
これを見てもわかるように、ミネルバの学習では、とにかく知識間の関連づけ、理論との関連づけ、実践との関連づけが重視される。そのために、今回のこのnoteで実践しようとしているように、「学んだことを使う」ことが推奨される。理論を学んだり、抽象と具体を行き来するのは、「ある分野の知識が別の分野に応用できる」ということや、「経験が理論に裏付けられ、理論を介して別の経験にもつながる」ことを学ぶためだ。それに、理論があった上で一般化しないと、まったく異なる文脈を持つ他者との対話が成立しない。文脈の異なる他者との対話がいかに大切なことなのかということも第4回の授業回からの学びの核だ。
すべての学習目標(learning objectiveLO)はハッシュタグ(#)で表現される。一例を挙げる。#LeadPrinciples, #Purpose,#SystemsThinking, #SystemDecomposition, #EmergentProperties,#PsychologicalExplanation, #SelfAwareness, #RelationalIQ この#があることで、学習者同志で対話をする時のコミュニケーションコストが下がる。「その課題は#Purposeの考え方を使って考えてみたらわかりやすいんじゃない?とか、#RelationalIQの時に出てきた●●の事例とつながるね」という感じで使われており、バックグラウンドの異なる学習者間の共通言語化をすすめやすい。
GROWモデル
GROWモデルというのは、リーダーシップ開発や目標設定のための手法として使われている。GROWモデルとは(Goal、Reality、Options、Will)を通じて、問題の解決策を見つけるだけでなく、自分の置かれている状況を理解する。初回の授業で自身の目標設定のために学ぶ。https://mikehohnen.com/library/grow-model-for-coaching-and-leadership-development/
複雑系のリーダーシップ Strength-Mapping
この後のリーダーシップ講座で学習する内容について概観する。複雑系のリーダーシップでは、Vision,Systems Thinking, Emotional Intelligence, Collaboration, Effective Communication, Problem Solving, Decision Leadership, Innovation が重要だ。ビジョンから始まる詳細はまた次回。
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