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A-tagの設置方法について

よくお問い合わせをいただくので、こちらにまとめておきます。
2022/06/15 update

機材は、ボディにビニテを一周させてから設置することをお勧めします。

結束バンドは3−4ヶ所、マイクの近くを外してつけています。

機材にはビニテを巻いてから設置することをお勧めします(この写真では巻かれていません)
ロープへの取り付け風景。T型は、左右を補助ロープか何かで固定しないと方位情報を使えません。この写真でも機材にビニテが巻かれていません(巻いた方が良いです)。
回収後の様子。特に夏場はフジツボやプランクトンなどで掃除が大変です。

A-tagの設置方向は、設置場所により、マイク下向き・上向き、どちらが良いか異なると思います。できるだけイルカの音が入るよう、反射波が少なくなるよう設置した方が良いです。反射波は、海底が砂や泥などの場合、水面からの反射波が大きくなるように思います。

A-tagの設置水深は、基準箇所は各自決めれば良いと思いますが、私たちの研究チームではAマイク(2つあるマイクのうちボディに近い方)を基準位置として設置水深を決めています。

指の先にある、ボディに近いマイクがAマイク=基準となるマイクロフォン。T型も、ボディに近い方がAマイクです(左右の腕の長さが違うのですぐにわかります)

新型のA-tagは1ヶ月以上データを取り続けることができるかもしれませんが、付着物のことなどを考えると1ヶ月程度で一旦回収した方がいいように思います。
なお、あまりに長期間水中に放置すると、腐食します。

定点型の機材ロストはかなり確率が少ないと思いますが、これまでに、
・洪水、台風により設置系ごとなくなった
・漁業により混獲?されてなくなった
・人為的に切断された(営利的な切断面。警察に被害届を提出)
このような経緯で紛失したことがあります。
ロストした場合、所属機関に資産登録されている場合は紛失の手続きが必要です。


曳航式も、ほとんど同様に設置します。曳航式の場合はこの写真のようにお尻(マイクではなくボディの末端)に流線形の物をつけた方が、ノイズやゴミ付着、それによる機材損失の可能性などを軽減できると思います。
この写真では、繰り返し使用するロープに、自由樹脂で流線形をつけていますが、毎回ビニテなどで作成しても別に構わないと思います。

機材のボディにビニテ、結束バンド3−4ヶ所、その上からビニテ(マイク側で巻き終わるとそこから外れかけてノイズ源になると嫌なので、マイク側から巻いていました)

曳航式は、中国では45m程度、日本では100m程度後方で使用していました。(真下に垂下したまま曳航したこともありました)
速度は6-8knot程度でしょうか。ロープの長さや自船のノイズ状況などによっても異なります。事前にテストし、データを見て、速度を決定してから調査をスタートする方が良いかもしれません。

スクリューから自船のノイズが出るので、スクリューを避けるよう、できるだけ横に外してからロープを後ろに垂らすことをお勧めします。

使用するロープの種類によって、浮力体をつけて浮かせる努力が必要な場合と、錘をつけて沈ませる努力が必要な場合があると思います。

曳航式は、長期設置目的で設計されていないので、長期設置に使用すると腐食する恐れがあります。

一度だけ曳航型機材を紛失したことがあります。
曳航中に、調査船が停止をして、そのままロープがたゆみ、機材が沈んでしまって、水中に沈めてある漁具か何かに引っかかり、機材だけ無くなっていました。

曳航式の機材設置方法はMMT社のHPにも掲載されています(英語)。
http://mmtcorp.co.jp/A-tag/A-tagDeploymentTowing.html

以上です。

この記事は個人の経験に基づくものです。

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