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消えてゆく時代

公衆電話ボックスの
青白い灯り
裏通りの交差点を
通り過ぎるとき
思い出すのは

遠いひの うら若い私だ

未熟で 幼くて

何もかもが消えていきそうで

一生懸命だった

わたしはあの頃
他の何も見えていなかった
一筋の恋の情熱の中で
生きていた

たしかに

〖恋〗をしていたのだと思う

あの公衆電話まで走って
カードを差し込めば
不安はきっと消えると
信じ
信じられなくなると
素直に泣いた

幼い私が ひとり ぽつんといる

あんなにしてまで 縋りついた恋も

とおく過ぎ去った今

公衆電話の薄灯り

あの頃には

戻らないと 安心さえして
もう泣く事もないけれど

我知らずに瞼が熱くなる

ただ遠い空の下で
小さくなって 生きてる今が
しあわせだと おもいます

社会の片隅の何処かで
それなりに溶け込んで

生きている 有難い事だと思います

人生の時間列車は
今 どの辺りを 走っているんでしょうか?

あのころのわたしに
ダイヤルを合わせるのは

もう今日をかぎりによしましょう
時は前にしか進みはしないのだ

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