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「特徴を出さないのが特長」の伊勢蔵|生産者訪問#8|三重県

三重県四日市市。かつて大阪と江戸を結んだ東海道沿いに蔵を構える「伊勢蔵」。

店の前は東海道。かつて人々が行き交った通りには今は車が行き交う。

「蔵としては100年以上経っていて、他業種さんからすると老舗なんですが、醸造業界の中では300年、800年の蔵元さんが結構いるから、うちはまだまだ若造なんですよね(笑)」と4代目の式井一博さん。実家の味噌蔵を2019年に引き継いだ、若き発酵MEN。伊勢蔵の味噌と醤油の特長は「特徴を出しすぎないこと」だそう。

「味噌を摺った時の滑らかさによっても味わいが変わるんですよ」と式井さん。手に持っているのは、味噌を摺るための機械の網目皿。

一言に「豆味噌」と言っても、その作り方や味は蔵元によって全然違う。最も特徴的な豆味噌と言えば、愛知県岡崎市の「八丁味噌」だろう。酸味や渋味さえ感じる味噌の味に、好みがわかれるところ。
伊勢蔵の味噌は、豆味噌の中でも、米味噌に近いような食べやすさ。豆味噌を食べたことがない人でも、とても親しみやすい味噌のように思う。

蔵の中で、豆味噌の味比べ。

伊勢蔵では、味噌の他にも、濃口、淡口、白醤油なども醸造している。濃口醤油とたまり醤油は木桶で仕込み、白醤油はタンクで仕込む。というのも、白醤油の最大の特長は「色がついていない」こと。木桶で仕込むと色がつきやすいそうなので、敢えてほうろうのタンクで仕込んでいるという。「特徴を出しすぎない」と表現されていたけれど、「伊勢蔵が出したい味」を追究し続けている。

醤油を絞る工程の体験もさせていただいた!茶色いものが、絞る前の「もろみ」。

蔵に隣接された店舗では、今では珍しくなった味噌の量り売りも。少しずつ色んな種類を楽しめるし、お店の人との会話もまた、味噌の味に奥行きを持たせてくれる。

蔵の前には木桶の中に入って写真が撮れるスポットも。

2020年3月6日訪問。(ブログ移管のため過去の記事を加筆修正して掲載しています)

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