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ここ最近の俳句の作り方(佐藤健二の場合)

晴れ晴れ句会を盛り上げよう!という事で「サイトの方はなんとかするよ〜」的な事を言った言い出しっぺの当方、佐藤健二がまずは口火を切って「ここ最近の俳句の作り方」を書かせてもらいます。

これまで15年俳句を作ってきた事、秘伝のタレみたいな作り方をどうしてつまびらかに御開帳しちゃうのか?と言われれば…おそらくこの記事を出したところで僕は僕で、また、僕の他にこの方法を使って句を練り上げるには紆余曲折があったり、一筋縄でいかない事を知っているから惜しげもなく出したりします。
(まぁ「あ、こんなんでいいんだ」とか、これならできそう。とか、もっと自分でうまいことカスタマイズして句を作ることを軽く身につけられるなら、その一助になるなら、それはそれでいいかな?と思ったりします。)

さて、本編はじまりはじまり〜☆

句会に持っていく俳句を作るにあたってどんな事をしているか?

俳句の作り方、どんなことをしてますか?
コレは割と皆さん各々で方法が違うようでして、
また、個人的なポエットを作るのではなく「場の文学」たる俳句を、自分の作った俳句をお披露目するに当たりどう俳句を発句しているのか?
今回は僕の発句の仕方を記載していきます。

メリット

僕の発句の仕方のメリットとしては

  • 少なくとも15年くらい続けられる(運用負荷が軽い)

  • ネタ切れ無し(継続性が良い)

  • 日常が楽しくなる(俳句をなぜやるのか?の答えにも)

などの効果があります。

ツールは至ってスタンダード。
iPhoneのデフォルトで入ってる「メモ」アプリを使います。

iPhoneに必ず入ってる「メモ」アプリ

1.まず初めに

メモアプリに日々気になった事をメモしてます。
その際無理に「俳句」にしなくて結構です。
1人でブレストしてる感じ
なんでもござれ、気になる事を書き留めます。
可能な限り新鮮なうちに、出来るだけ立体的に。
言い換えも合わせて軽く考えておくと立体的になります。
例えば「服のシワ→蒸れた跡→蒸れた服→座りジワ→
長時間労働でついた→くたびれた服のしわ(湿り気多め)→長時間労働お疲れ様です→衣服に刻まれた勤労の跡」
とかでもいいですし、そこまで服のシワが重要でなければ
「服のシワ」でいいでしょう。
その際に、素材として使う事のできない説明的なものも良しとして、とりあえず書いておいてください。
(「あれはダメ」「これは使えない」とかアタマを萎縮させない努力)

2.次に膨らます。

で、メモしたメモは奇跡的にそのまま俳句になってる場合もありますが、せっかく句会に出すのだし 「奇跡がおきて一発ズドン」なんて事はマレなので膨らましてみましょう。

どうすれば輝くのか?
どうすればみんなに届くのか?

そりゃぁ僕にもわかりません。
とにかく色々広げましょう。
妄想爆発でもいいですし、ダジャレ的な韻の踏みまくりななにかでもいい。
見聞きした情景とシンクロしてもいいし
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!というポルナレフ状態を日記調にしたためていくのもいいです。

蛇足

話をふくらませる。という話題に近いのでこのあたりに入れておきます。
他のコラムにしてもいいのですが…。(後日分割するかも)
色々な句を読んでいて勿体ない。と思うのは、ひとつの感覚やヒラメキを伝える事に重点を置いてしまい17文字しかないのに色々な側面から言い換えをして必死に伝えようと頑張ってしまう句を読むとなんだか勿体ないなと思う訳です。句会であれば、ある程度信頼関係もありますし、知識のある方々であれば、その人達がある程度汲んでもらえるんじゃないでしょうか。
だって、僕などが考えることですし、諸兄の肩を借りたっていいじゃないですか。更に更に伝えたい方が若い方であれば、ネットミームやらジャーゴンを使ってもいいのだと思いますメッセージですからね。それだけ、相手にゆだねられるのですから、ひとつの細かいことを掘り下げるのに17文字を使うのではなく、なぜそのメッセージ?詩?を伝えたかったのか、の真髄を可能な限り多方面から、可能な限りわかりやすくお伝えするのが良いかな?とおもったりするわけです。
余りに特殊な体験をしてしまい伝わらない。コレをなんとかしたい。と言うのを頑張って頑張って伝わらない。というのが起こりがち。これは最後の蛇足にある沖縄が鬼門て部分にも繋がります…。


3.顕現させる。

実際、ぼくはこの1の工程と2の工程が混濁しているのでアレですが、とにかく1月の間にキラキラとしたものをいっぱいポッケの中に仕舞い込むように、メモアプリに溜め込みます。
残念ながら忙しくて溜め込めないかもしれませんが、そんなときは、目の前にいるおじさんとかOLとか女子高生とかを眺めながらそれっぽいことを拾い集めていくといいでしょう。材料は集まった(?)ことにして、次のターンです。

何をするかといえば、上に集めた言葉達を繋げひとつづきの俳句のようなものにしていきます。わかりづらければ状況を補強して文章にし、繋げたり切り離したり。なにより、現実の意味のわかる形にすることに意義があります。
とにかく「顕現」させる。世の中に無かったものを引っ張り出します。
この辺りがちょっとホネですね。

4.尺度ではかる

顕現できたとしたら、つぎ。
「尺度」を用意しそれぞれを比較、性能検査をします。
実際には自分の中で尺度をいくつか持ってそこに到達するのか?を問い詰めていきます。
最近の僕に取ってはそこに詩があるのか?というのが一番かな。
メッセージというより、何かイイなと思えるシンパシーが得られる何かドラマのようなものが有るのか?とか。

その俳句を読んで情景が浮かぶかってのも一つの尺度になると覆います。
合わせて「香り」があってもイイし「音楽」が流れてもいい。
韻を踏んでいるか」「リズムはいいか」この辺も尺度になります。
あとは、ピーキーですが「エロ」やら「ツラさ」「鬱々」な表現などもあるでしょうし「情念」とかもあるようです。(情念は僕は使いこなせず)他にも「滑稽」「笑い」とか「シニカルな笑い」「とんち」などもあると思います。

今回は実戦空手ならぬ、実戦俳句とでもいいましょうか、句会に投句をすることを念頭に置くので「とる人」の気になってみるとよいでしょう。
「エロ過ぎる」「つら過ぎる」「取るのにちょっと恥ずかしい」とかは一旦外して「別枠」でキープ。
また、僕に個人に関しては、面白そうなことを言ってトリックスターのフリをするのが良いと思ってましたが、どうも飛んだ思い過ごしだったようで「滑稽」とか「笑い」は追わないようになりました。これはこれで青春を通り過ぎたことで得られた何かなのでしょう。
逆に滑稽こそが真骨頂の人もいるので、個々の持ち味があるので、自分なりの尺度をもち、句会に臨まれてはと思います。

更に高級な事としては声に出したときに読みやすいか?を問う。
とかでしょうか。
俳句は詩でありウタですので、詠みやくす、発しやすく、小気味良い、なんなら文字面も書いていてわかりやすく、声に出してみたい言葉になっていると良いように思います。
hip-hopみたいに、韻を踏んでもいいんだYo!ということで、その辺も狙えるなら狙って言って素敵なリリックをまずはつくってみてください。

まだ、俳句に仕上げきらなくて結構です。
面白い、興味のある部分をシャープにしていきましょう。

脱線(ココから)

読みやすくの延長線上をどうするか?これまた高級な問題だったりします。漢字が多いとか、知らない言葉をスノビーに使うのを良しとするかとかね。
この部分は難しい言葉をぶつけ合う衒学的な句会に出ていて、知識という名の棍棒で殴り合う知識謎ナゾをやって楽しむ側面がある場ならグイグイその辺のチューニングを追い込んで行くと良いのだと思います。
古語、文語、漢文引用、なんなら外語を織り交ぜ謎掛けの限りを尽くすのもまた趣味性の発露として良いのだと思います。
そこの句会にいるメンバーさんが漢文に精通された武人だったり、ぞなむやかこそ!!かな!けり!!や!!よ!!とか唱える切れ字ラブな刺激的なことが大好きな集団だったりすると同じルールの中で戦っているはずなのに、一向に面が当たらない、フェンシング🤺対剣道🥷みたいな事になっちゃいますので場や会のメンバーさんの趣向がとても重要かなと。
普段の生活で僕は切れ字を使わないので暮らしているので、できる限り普通な言葉で暮らしたいなと思っている部分もあるので晴れ晴れ句会はいいなぁと。素敵な体験をしたときに「おかし!」と言わない現代語での俳句良しとした場で良かったなと。ホッと胸をなでおろすのでした。

脱線の蛇足

僕の目指しているところは俳句を通して共通のエモい感触を共有するコミュニケーションができる人達だとイイなと思って活動しているところがあるので良かったなと。
感じたインスピレーションが電気が走るみたいに出来るだけ早く伝わった方が良いと思ってて、それは、古語を使ってた時代には古語だし、近代日本は近代日本だし、15年前には15年前の言葉があって、それらは移ろいながらも確かにその瞬間届いくのでは、という感触が句を通して共有できるんじゃないか?と。
僕にとってはそういう電気みたいなものが俳句なので、ビリッとする良さが届くために最適な言葉やさ選びができているか?届かないのでは?って所のチューニングが至極大切かと。

佐藤談

脱線(ココまで…長い!)


5.季語

既に季語が注入されていて不動な状況ならそれでヨシ!
ヨシ!
季語が見あたらないなら、アプリで対処しましょう。
サイトで見ることもできますが、やや出どころが怪しかったりしますので、角川の季語アプリ『俳句歳時記』を使って解決しちゃいましょう。
季語がカビ臭いと思うなら、夏だ!とか、夏の〜とかそんな風にクリアしても良いけど、朧闇とか溽暑とかちょっと面白い表現があったりで季語を一通り知っておくのもまた悪くないかなと思う次第。
(季語に関しては、実際句会に出てみて1年を通して色々な人の句に触れ感銘を受けるなりしてると「自分でも使ってみたいな」と思えるようになってきたりできるので、まずは何も言えなくて夏とかでもいいと思います)

実はアプリは一覧性がないのが大問題でして、手練な方ほど歳時記の現物の本を持ってますので、ブックオフとか古本屋などにも転がってますし始められる方は悪いことは言わないので一度、現物の本を手にしてみては?と思います。(僕はもらったり買ったりで3冊持ってましたが、アプリを手にして以来手軽な方がいいので全部あげちゃいました)

佐藤談

大体上の方でメモして出来上がった詩の部分には季節感がないので、このあたりで季語をぶっこみ「夏だ!」とかな季節を想起させる言葉を投入することでイメージが明確になります。
例えば、デート、ってだけだとゆらぎますが、花火デートっていうとイメージが湧きますね。彼女はポニテで後れ毛を装備し、浴衣でチークが軽く入ったメイクがよくて、黒い下駄なのかな?ちょっと慣れない足取りで歩くわけで、彼ピッピの方は、うちわとか持っちゃうわけですよ。で、見つめ合う二人の後ろで、花火大会に行く前に花見が上がっちゃうとかなんとか。
はい。季語、花火いただきましたー!的な。
デートっていう直撃で即物的な言葉に広がりがでるので、季語はあるとすごくお得です。で、この季語がなんと数万字?入って(テキトー)1冊になった歳時記がなんと!数千円で買えるのです。ってなわけで、歳時記買って季語をぶっこむだけで、暴力的な事を言えば大体のものは俳句になってしまうので、とりあえず、歳時記を入手ってのが良いと思います。(上の努力はなんだったんだ?)

6.個人的な選句、絞り込み

でだ、良いなと思う俳句を幾つか作ったら、そこには少なくとも2つ3つバージョン違いとか、多いと7〜8個の句会に”出荷”できるか不明な俳句のようなものが並ぶわけ。
それは視点を変えたり、言い換えてたり、テニオハを変えてたりした貴方の努力の結果だから決して悪くない事かと。
コレらを選ぶのにツール「メモ」アプリが使えるわけです。

この選定する俳句がズラリとiPhoneの画面に並ぶことになるのだけど、ココで「メモ」の機能を使うと割と簡単に解決するのです。

やり方は簡単。「メモ」アプリのチェックリスト機能を使う事が最近の個人的な流行りなのです。(ココ3年くらい)
こんな感じ。

チェックリスト機能で並び変え

チェックリスト機能は本来やる事をチェックしていく「Todoリスト」的に使っていく機能なのですが
とりあえず、箇条書きができるという部分と、
プレースフォルダを押した1行がとにかく下に行くってところが秀逸。
色々できてしまったバージョンやら、推敲の残滓的なものをまずはザザッと視界の外に放り出して削る事が可能になるです。

画面領域が狭いスマホ的にこの機能はありがたい!

佐藤談

上の画像でチェックがついてるのは句会に出さないもの。推敲の残滓だったりします。
とにかく押したら下にいくので、整理が早い。しくじったらもう一度押して戻せば良い。
気軽に添削ができちゃいます。

で、1句につき6バージョンあるとして9句くらいそれっぽい、俳句に成り切ってないものが出てきてたら54くらいの句があるわけで、下手すりゃ80とか。
スマホの画面は一気に見る事、一覧性が非常に悪いので、とにかくこの要らないものを蹴散らす作業が重要で、この、削除工程を2回くらい回せば20句くらいに絞るところができます。
あとは、削り出す感じで、3工程め4工程めといってもイイですが、ここで僕はルールを変えます。

7.追い込み調教

見晴らしが良くなったのだから、あとは個人的に自分の句を選句していく感じで「イイな!」と思った句を拾っていきます。
ココの工程で削るのと拾うのでは大きく差が開くと思います。
とにかく表現を極めたい場合は削り出すのが良いのかもしれません。数が減ったら他の可能性を模索して削る対象を増やしてみるとかね。
ただ、僕は表現の極みを目指すのではなく句会に出す句を選んでいるのでとにかく拾い集めます。
20句から、拾うときの感じとしては、類似品はどちらかにする。もしくは、どうしてもなら、同じ季語であっても突破力のある絶対的なモノを選ぶ。
更に景色が見えるものをとる。他の季節で良い≒季が動くものはとらない。
主張が強いものを選ぶ。とかでしょうか。

8.デッキを組む

で、リアル句会なら8〜11句くらい選びます。
5句出せる会なので3句は退場する事になりますが、それくらいがイイです。
リアル句会に行くまでに短冊に書いて手に持って見定めます。
面白いのは、縦書き、手書きになると急に見ていたものが同じとは思えない感じに化けたりします。
だもんで、書きましょう。
で、音読もしましょう。
会場に向かう道すがら、テニオハを変えても良いでしょう。迷うのもまた楽しみ。
で、同門の諸兄達とさながらポケモンバトルのように句を競わせる訳で、そのテニオハが変わるくらいで試合がひっくり返る事は実際はないのだけれど、死力を尽くして鍛え上げたポケモンでデッキを組みましょう。
この時8〜11の句が手元にあるので、メンバーがどうか?とか、その場の空気に合わせてデッキを組み替えていくと楽しいです。
いけ!ピカチュウ!!電撃100万ボルト!!
とかなんとか。
実はそのタイミングが重要でして、ある程度のエロが許容されるのか、もしくは、主婦の独り言が好まれるのか、戦略、知略に生きるのか、はたまた我を通すのか?
目指せポケモンマスター!
という事で、最後の方は自作のポケモンを使ったポーカーのような状態、しかも乱戦になる訳で変な楽しみができるようになります。

決闘(デュエル)!!

句会に手持ちの句を持っていきましょう。
俳句は生物ですから、時制をはらみつつどんどん劣化もしていくので、できれば1月に一度くらい投句できると良いと思います。
よければ、ぜひ千駄木の晴れ晴れ句会

蛇足

と、上の発句の仕方を実践していると
地を這うような得点になりがちです。
これは明確なデメリットでもあります。
なぜなら、日常にドラマがないとドラマは書けない、もしくは、ドラマをみるとかしないとそんな毎月毎月素敵なことが日常に起こるはずがないのです!(ココに来て衝撃の展開、しかも蛇足でw)

出来上がるものはどうあがいても日記俳句に近いので月並俳句になっちゃいます。
エモいシーンに出来るだけ遭遇できるよう歌舞伎町に繰り出すのもよし、松尾芭蕉みたいに知らない土地を徘徊するのもまた良いかと思います。
気づけば来月あたり、鳥海山辺りにいるかもしれませんがそれはそれで一興。

蛇足の蛇足

あと、この徘徊ですが、ひとつ気をつけて頂きたいのは常夏の島と南半球は鬼門です。
季節逆転とかが起こります。(体験済み)
沖縄辺りだと、日記としては良いのですが、なんというか、投句に向かない句ができるので南国は南国として楽しむしかないのかなと腹を括ってなんとかしましょう。


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