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【書評】ちきりんさんの「マーケット感覚を身につけよう」はこれからの時代を生きる上での必須スキルを養う1冊!

どうもこんにちは。チカトサです。  

今回は、ちきりんさんの「マーケット感覚を身につけよう」の書評をしていこうと思います。

この本では論理的思考と対になる“マーケット感覚”というスキルについて書かれています。

このマーケット感覚を鍛えていくことで、これから何が求められるのか、どうすれば市場価値が上がるのか、などについて知ることができます。

読む人によっては耳の痛くなるような内容がふくまれており、特に今まさに資格取得の勉強中という方には、ちょっときついかもしれません。笑
    
というわけで、この記事では「【書評】ちきりんさんの“マーケット感覚を身につけよう”はこれからの時代を生きる上での必須スキルを養う1冊!」について書いていきます。

ちきりんさんの“マーケット感覚を身につけよう“とはどんな本?【概要】

「マーケット感覚を身につけよう」は 、2015年2月に発売された本です。

ちょっと複雑な内容でも所々に図でわかりやすく解説されており、非常に読みやすい本です。集中して読めば全260ページを【約8時間】で読み終えることができます。著者のちきりんさんのプロフィールも紹介しておきます。

ちきりん

関西出身。
バブル期に証券会社に就職。その後、米国での大学院留学、外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念。2005年開設の社会派ブログ「Chikirinの日記」は、日本有数のアクセスと読者数を誇る。
11万部のベストセラー『自分のアタマで考えよう』を始め、著作も多数。
近著にブログの戦略的な運営方法をまとめた『「自分メディア」はこう作る!』など。

“マーケット感覚を身につけよう”の 目次は以下の通りです。

はじめに
序 もうひとつの能力
1 市場と価値とマーケット感覚
2 市場化する社会
3 マーケット感覚で変わる世の中の見え方
4 すべては「価値」から始まる
5 マーケット感覚を鍛える5つの方法
終 変わらなければ替えられる
さいごに

論理思考とマーケット感覚

まずは、マーケット感覚とは
というところですが、論理的思考と対になる思考方法です。
論理的思考はご存知の通り、一歩一歩順を追って考えていく思考方法ですね。
マーケット感覚とは、具体的にユーザーの立場に立って、あらゆる場面を考えた時に想定される事象を拾っていく思考方法です。
この説明だと抽象的でよくわからないので、本書にも取り上げられているANAの競合を考える事例で説明します。

〇論理的思考 ANA → 航空会社 → JAL、シンガポールエアライン…
〇マーケット感覚 ANA → 人によっては会議目的の移動 → ZOOM…

途中大分端折りましたが、このような全く異なるアプローチによって論理的思考では出てこないような結論を出すのがマーケット感覚です。
このマーケット感覚により、理屈ではたどり着けない答えに導いてくれる問題解決能力なのです。

論理的思考力と併せて2つの思考方法はいくらでも鍛えることができ、
両方を駆使することでより良い結論を得られるのです。

相対取引から市場取引へ

インターネットの普及により、あらゆる面で社会の市場化が促進しています。
ここで言う市場化とは、あらゆるものにリーチできるようになった仕組みのことを指します。
一昔前では相対取引が当たり前だったものが、今となってはあらゆる場面で市場取引となっています。
例えば、婚活や就活の変化の事例がわかりやすいかと思います。

         相対取引          市場取引
婚活     仲人による紹介      婚活アプリ、婚活相談所
就活      先生や知人のツテ      就活アプリ、Web面談

このような相対取引から市場取引への変移は、これからもあらゆる産業で起こり続けていきます。

〇市場化する社会
社会の市場化が進むと、狭いコミュニティや特定の地域だけで確立されていたものが通用しなくなったりと、まさに弱肉強食のような現象が起こります。
例えば、東京で人気3位を誇っていたお寿司屋さんが、全国ランキングでは100位となる可能性もあるのです。
このように各地にバラけていたローカルマーケットは、日本や世界といった、より大きな単位での市場に統合されていくです。

〇受給で決まる価格
資本主義社会では需要と供給のバランスによって価格が決定されるのが基本ですが、これも市場化によるものです。
例えば、高級食材で知られるキャビアやトリュフは需要に対して供給が少ないから高い値段がついているのです。
仮に貧しい時代に、キャビアとバナナが並んでいたら、バナナの方が需要があり値段も高くなっていたと思われます。

需給バランスが重要になる市場化された社会では、難関資格を要する職業に就いた人が翻弄されています。
司法試験を合格した弁護士や博士課程を修了した博士号取得者も、供給の割に需要が少なく、仕事がない人が多くいます。
これまでは一生安泰だと思われていた資格も、需給バランスによってはそうではなくなっているのです。

そのため市場化が進む現代において、
市場の動向をいち早く見極めるためのマーケット感覚と、
需給バランスの変化に合わせて自分のスキルや専門性をシフトするための柔軟性や決断力が重要になります。

成功の鍵は市場の選択

婚活をするにしても転職をするにしても、成功するためには「市場の選択」がとても重要です。
例えば、

・有名大学卒
・年収1,000万円
・マジメ
・クチベタ

といったスペックの人であれば、合コンよりも婚活相談所の方が有利ですし、

・高卒
・年収200万円
・イケメン
・コミュニケーションが得意

といったスペックの人であれば、結婚相談所よりも合コンの方が有利です。

常にダイナミックに変化していく市場に、アンテナを高くして迅速に感じ取り、自分をどこで売るべきなのか、自分が売れる市場はどれなのか、
という市場の選択にこそ、マーケット感覚を働かせる必要があるのです。

自分の価値に気が付く

市場では価値の取引が行われていますが、自分には何も培ってきた特別な技能はない、と考える人は多いと思います。
ですがそういった人でも、別の人から見たら魅力的に思える価値を持っていることがあります。

例えば、祖父母の買い物に付き合う孫のアドバイスは、店員さんのアドバイスよりも価値があったります。それは店員さんよりも祖父母のことについて詳しく理解しており、祖父母の味方であるからです。

このように少し見方を工夫し、自分が持ち合わせている価値を理解することもマーケット感覚なのです。

マーケット感覚を鍛える5つの方法

これまで説明してきたマーケット感覚を鍛える方法を5つ紹介します。

その1 プライシング能力を身につける
その2 インセンティブシステムを理解する
その3 市場に評価される方法を選ぶ
その4 失敗と成功の関係を理解する
その5 市場性の高い環境に身を置く

その1 プライシング能力を身につける
市場で取引されていない、値札もついていない「潜在的な価値」気づくための、自分独自の価値基準を手に入れましょう。

「値札」や「相場」といったものはあくまで他者の判断結果であり、自分独自の価値基準に基づいて判断しましょう。
同じ物でも、その人の属性や状況によって価値はことなります。

その2 インセンティブシステムを理解する
人が何か特定の言動をとった時、その背景にある要因や、その要因が言動につながるまでの仕組みである「インセンティブシステム」を理解するのです。
やたらと他人の商品を紹介している人がいたら、もしかしたら売上バックを受け取っているかもしれません。

これを鍛えるためには、普段から自分の欲望に正直でいることです、
自分の欲しいものがわからない人には、市場にいる他の人が欲しいものを理解することが難しくなります。
食器洗い洗浄機は「食器洗いをしたくない」という欲望から生まれたものです。

その3 市場に評価される方法を選ぶ
「組織」と「市場」の意思決定スタイルの違いを理解し、組織に評価されるのではなく、市場に評価される方法を学びましょう。
これまでは特定の組織に評価されることで御贔屓にしてもらうことで、上手くいっていた企業も、これからは市場による評価が重要になってきます。

市場からのフィードバックはとても早く、常にトライ&エラーを繰り返し、ダメだと思えば早めに見切る意思決定の早さも重要になります。

その4 失敗と成功の関係を理解する
成功と失敗は二者択一ではなく、成功するまでの過程で失敗を繰り返すのです。
市場化の進んだ今の社会では、「学校での学び」を延々と続けるのではなく、いち早く「実践での学び」に移りましょう。
市場からのフィードバックを得ることが、何よりの学びとなります。

その5 市場性の高い環境に身を置く
市場には固有の「市場性レベル」があることを理解し、意識的に市場性の高い環境を選びましょう。
市場性が極めて低い場所のひとつが学校です。どんなに授業の内容が役に立たなくても、先生の給料が下がったり、解雇されることはありません。
SNSで言うと、
フェイスブックやLINEは知り合い間でのコミュニケーションになるため、相対取引的で市場性が低いのに対し、
ブログやTwitterは不特定多数の人同士が、フォローフォロワーの関係になったりと、市場性が高いと言えます。

市場性の高い環境で鍛えたマーケット感覚を活かし、もともと自分が価値を発揮したいと思っていた分野で活躍しましょう。

変わらなければ替えられる

最後に、変わることから逃げてはいけません。
今はまだ規制や既得権益に守られていたとしても、市場化の波にさらされることで、半強制的に替えられてしまいます。

〇一生ひとつの専門性は無理
専門性や資格の有用性についても、これまでの考え方は通用しません。
高度化する社会において、専門性は確かに重要です、しかし変化の早い時代には、同じ専門性が何十年も通用し続ける保証はどこにもありません。

これからは一生ひとつの専門性ではなく、数年ごとに学び直し、一生の間に複数の専門性を身につける必要があります。
一生沈まない船を見つけて乗り込もうとするのではなく、いつその船が沈んでも、他の船に乗り移れる力を身につけるという発想でこそ、早い変化の時代を生きていけるのです。

マーケット感覚を身につけることの最大の利点は、それさえ身につければ、変化が恐くなくなるということです。
変化は恐れるものではなく、心から楽しむものなのです。
そのために必要なのものこそが、「マーケット感覚」なのです。

ちきりんさんの“マーケット感覚を身につけよう”を読んだ感想

 この記事では、ちきりんさんの「マーケット感覚を身につけよう」について書いてきました。

「変化の時代を生き抜く」とは色々な解釈がありますが、僕が考えるには弱肉強食化される社会の強の側に留まるということだと解釈します。
つまり「利用される側」や「搾取される側」にいるのではなく、
「利用する側」「搾取する側」に回るためのスキルです。

今まさに一級建築士資格の勉強をしている自分にとっては、とても耳の痛い内容でした。
ですがこの本に書かれていることはとても共感でき、近い将来、建築業界の市場化も進むのだと思います。
もはや進んでいるのかもしれませんが、そこはマーケット感覚を養うことで見えてくるのでしょう。

というわけで、今回の記事は以上です。

ぜひ、また見に来てください♪

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