【要約】楠木建さんの「ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件」は賢者の盲点を養う一冊!
どうもこんにちは。チカトサです。
今回は、楠木建さんの「ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件」の要約をしていこうと思います。
この本は企業間での競争戦略において優位に立つ企業が持っているストーリーを教えてくれる1冊です。
起業家や経営者の方だけでなく、一般の会社員にとっても大事な話をしてくれています。
この本を読むことで、業界内である程度の地位を確立している企業の秘訣を知ることができます。
読み終えた後は、自分なりのストーリーとしての競争戦略を立てたくなります。
というわけで、この記事では「【要約】楠木建さんの「ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件」は賢者の盲点を養う一冊!」について書いていきます。
楠木建さんの“ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件“とはどんな本?【概要】
「ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件」は 、2010年5月に発売された本です。
要所要所で図解を使って説明されている本で、集中して読めば全500ページを【約2週間】で読み終えることができます。
楠木建さんのプロフィールも紹介しておきます。
楠木建
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。
1964年東京都生まれ。92年一橋大学商学部助教授および同イノベーション研究センター助教授などを経て、2010年より現職。専攻は競争戦略とイノベーション。
“ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件”の 目次は以下の通りです。
戦略とストーリー
戦略とは、「違いをつくって、つなげる」一言で言うとこれが戦略の本質です。この定義の前半部分(違いをつくって)は競合他社との違いを意味しています。
後半部分(つなげる)とは二つ以上の構成要素の間の因果論理を意味しています。因果論理とは、XがYにもたらす理由を説明するものです。
個別の違いをバラバラに打ち出すのではなく、それらがつながり、組み合わさり、相互に作用する中で長期利益が実現されます。
これがストーリーであり、個別の違いが因果論理で縦横につながった時「静止画」ではなく「動画」になります。
即ち戦略ストーリーとは、「こうすると、こうなる。そうなれば、これが可能になる…」という時間展開を含んだ因果論理になります。
大事なことは、経営のトップがストーリーを構想するだけでなく、そのストーリーが組織の人々で丸ごと共有されていることが重要な意味を持ちます。
5C
どんな企業にもコンセプトやビジョンがあるように、
戦略ストーリーを組み立てる際に柱となる5つの概念があります。
それは以下の5つのCです。
この5つを「戦略ストーリーの5C」としています。
順番にも意味があり、最終的な目的、つまり「持続的な利益創出」という結末から逆算的に考えた方が、一貫したストーリーを組み立てやすい、という目論見があります。
クリティカル・コア
5Cの中でも特に注目してもらいたいのが、4つ目のクリティカル・コア(Critical Core)です。
「戦略ストーリーの一貫性の基盤となり、持続的な競争優位の源泉となる中核的な構成要素」、これがクリティカル・コアの定義です。
クリティカル・コアには2つの条件があります。
一見して非合理
クリティカル・コアの第二条件である「一見して非合理」な要素をあえてストーリーの中に組み込む、ということが持続的な競争優位を築く上で非常に重要なのです。
そうすることで、他社が真似したくても真似できない、何故ならそれは誰もが認める全てが合理的なベストプラクティスではないからです。
部分的に合理的で、全体でも合理的なベストプラクティスは、誰もが納得しやすく、すぐに競合他社に模倣されてしまいます。
ですが部分的に非合理であっても、全体で合理的であれば、賛否両論となり、他社からも真似されにくい事業になります。
この視点こそが、まさに賢者の盲点(キラーパス)なのです。
スターバックスのストーリー
では具体的に一見して非合理とはどうゆう事なのか、スターバックスの例を見ていきます。
スターバックスは1996年に日本1号店をオープンしました。
その際にスターバックスの打ち立てたストーリーとは、「自宅でもない、仕事場でもない、第3の場所(サードプレイス)を人々は欲している」ということでした。
そのため、従来のカフェとは異なる施策を打ち出しました。
〇スターバックスの打ち立てた施策
具体的にスターバックスが打ち立てた施策は以下の通りです。
① 全面禁煙
今でこそ当たり前になっている分煙ですが、1990年代から早くも全面禁煙を取り入れていました。
これにより、喫煙者の利用により発生する売上を取りこぼすことになります。
② ゆとりのある座席
スターバックスに行かれたことのある方ならわかるかと思いますが、スターバックスは1席1席が非常にゆったりとしていて、空間を贅沢に使っています。
逆に言うと、客席を減らして意図的にお店のキャパを少なくしているのです。
③ 最小限のフードメニュー
スターバックスのフードメニューにはケーキやクッキーなど最小限の軽食しか扱っておりません。
ゆとりのある座席を利用するお客の単価を上げるためにも、フードメニューは合理的だと思われますが、それもしていません。
④ 高単価の価格設定
スターバックスの商品はどれも他のカフェよりも単価が高いです。席数を抑えているので当然と言えば当然ですが、金銭的にある程度の余裕がある人をターゲットとすることで、スターバックスの意図する第3の場所(サードプレイス)を実現しようとしているのです。
⑤ 直営による店舗展開
全国に店舗展開をする上で、FC(フランチャイズ)形式で展開していくことがリスクも少なく、スピード感も早く展開できるはずです。
何故なら、資金の持ち出しもFCのオーナー持ちになりますし、店舗の箱もオーナーが探してきたり、持っていたりと何かとリスクがなくて済みます。
しかしながら、あえて直営店による店舗展開をしているのです。
これらの施策は部分的(短絡的)に見れば非合理的なものばかりかもしれません。言ってしまえば、ただの逆張りです。
しかしスターバックスの描いたストーリーには欠かせない要素だったのです。
例えば、人々の欲しているサードプレイスとは、家庭や仕事の合間に過ごす、ある程度落ち着いた雰囲気でなければならないと考えた時に、食事等によるガチャガチャした物音や、喫煙による副流煙は邪魔でしかありません。
また、FC展開することで、オーナーの短期的な利益目的のために、座席数を増やしたりと勝手なことをされかねません。
そうしたことを踏まえて、最初から長期的な視点でストーリーを描いていたため、スターバックスは長い間、競争優位に立ち続けているのです。
もちろん、他社に真似されることも想定されます。しかしながら、繰り返しになりますが一見して非合理的なので、短期的には収益性が悪く、そのため真似するにも真似できない、という状況になるのです。
戦略ストーリーの「骨法一〇ヵ条」
この本で説明されている戦略ストーリーを「骨法一〇ヵ条」としてまとめたものが下記になります。
楠木建さんの“ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件“を読んだ感想
この記事では、楠木建さんの「ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件」について書いてきました。
この本を読んで、業界内で圧倒的に優位に立つ企業には、部分には非合理、つまり短期的には赤字が何年も続いていた、ということがよくわかりました。
ここではスターバックスの戦略ストーリーしか紹介しきれませんでしたが、本書ではその他にも、Amazonやセブンイレブンジャパン、TOYOTAやアスクルなど色々な企業の戦略ストーリーについて細かく紹介されています。
もし独立開業を考えている人がいたら、どんなクリティカル・コアを持ってどういった戦略ストーリーを立てようかと、ワクワクしてしまいますね。
というわけで、今回の記事は以上です。
ぜひ、また見に来てください♪
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