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ストリートファイター6をプレイしているというお話(2024年2月時点)

表題のとおり、現在私は対戦格闘ゲームシリーズであるストリートファイターの最新作、『ストリートファイター6』をプレイしています。
プレイ期間が半年を超え、最高ランクであるマスター(厳密にはさらに上がある)にも到達できましたので、本稿ではそこまでのゲームプレイを通じて感じたことや考えたことなどを書き残してみようと思います。
なお当方、PS5の純正パッド操作の「モダン」キャミィ使いであり、MR1300代のマスター下層?でもがいている程度の実力ですので、その前提でお読みいただければ幸いです。


対戦格闘ゲームのプレイ遍歴

まずは、私自身の対戦格闘ゲームのプレイ遍歴を振り返ってみます。
ずばり言うと、私自身はストリートファイター6がまったく初めての格闘ゲームではないため、いわゆる「格ゲー復帰勢」といったところに分類されると思われます。

思い返してみると、子供の頃には既にスーパーファミコンで『ストリートファイター2』が発売されていたので、私自身は格闘ゲームというジャンルに当たり前のように触れていた世代になるでしょうか。
小学生時代にはプレイステーションで『ストリートファイターZERO2』『ストリートファイターZERO3』が発売され、それを兄弟でプレイし、対戦していた記憶があります。
その後、友人が格闘ゲームにハマっていたこともあり、高校生の頃には『ギルティギア イグゼクス シャープリロード(青リロ)』『CAPCOM VS. SNK 2』『MARVEL VS. CAPCOM 2』などをプレイしていました。また、この頃はゲームセンターに行ってみたり、アーケードコントローラーを使ってみたりしていたものです。

ここで、格闘ゲームについて語る際に必ず留意しておきたいのは、一言で「プレイしていた」といっても、それがどれほどの熱量だったのかは人によってまったく異なるということです。
正直なところ、私自身は基本的には友達との身内対戦しかせず、ゲームセンターに行っても(お金がなかったので)強いプレイヤーたちの対戦を眺めているだけという程度でした(いわゆる「ベガ立ち勢」)。
私が眺めていた当時のゲームセンターはすさまじい強さの猛者たちが跋扈している空間でした。行くたびに毎回見かける人が見たことのないコンボや動きで連勝を重ねており、別の常連がまた別のものすごい連携でその連勝を止める。
お金がなかったのも事実ですが、私が突っ立っていた理由の大部分は、そんな強者に乱入する勇気が持てなかったからに他ならないでしょう。
彼らの熱量たるや、まるで生活の大部分を格闘ゲームに捧げているとも思われるほどで、ただ腕組みして見ていただけの私にもそれがひしひしと感じられたものです。

ただ、大学生になってからは格闘ゲームに触れることもなくなり(というか、ゲームそのものから離れていた)、大学院時代までも含めて、この頃はリアルの学生生活を謳歌していました。
それから社会人になり、タブレット端末の導入をきっかけに各種動画サイトを見るようになってから、いわゆる格ゲーコミュニティの動画や配信を視聴するようになります。
そこで当時の最新タイトル(ちょうど『ストリートファイター5』の最初期の頃?)や、主にストリートファイターの有名プレイヤーとプロゲーマーの方々を知るようになり、実際にプレイはしないものの、格ゲー関連の情報を追いかけるようになりました(いわゆる「動画勢」)。

そして、昨年の初旬あたりから、新作である『ストリートファイター6』の情報が目に入るようになります。
高校生のとき以来、私は格闘ゲームから約20年も離れていましたが、やはりコミュニティを追いかけていたこともあり、そしてβテストや体験版の対戦風景が”あまりにも面白そう”だと思ったのがきっかけでしょうか。
発売から1か月後の7月、とうとう今作の購入に至ったわけです。

苦しみと快感を内包する「対戦」という娯楽

以上の振り返りから端的に表現すると、私自身は「昔、格ゲーをテキトーに遊んでいた」プレイヤーなので、今回のストリートファイター6が初めて”ちゃんとプレイしている”格闘ゲームといえます。
ただ前述のとおり、今回、私は操作が簡略化された「モダン」の操作タイプで遊んでいるので、ひょっとすると「モダン使ってるヤツが”ちゃんとプレイしている”わけねぇだろ?」と難癖をつけられてしまうかもしれません。
この「モダン」にまつわる所感については後述しますが、やはりモダンプレイヤーも勝つためにいろいろ考え、練習し、そして実戦に臨んでいることには変わりありませんので、ひとまずは”ちゃんとプレイしている”と言わせていただきたいところです。

そんなわけで多くのプレイヤーと同様に、数カ月間にわたって私も日々ランクマッチでの対戦に勤しんでいるわけですが、この対戦という娯楽は、実際に向き合ってみると本当に複雑な心持ちになります。
そう、私たちがプレイしているのは紛れもなくゲームですので、他者との勝敗を競う対戦もまた、娯楽の一種に過ぎません。
ですが、これを続けていると、「はたしてこれを『娯楽』と呼んでいいのだろうか」という、根本的な疑問が浮かぶようになってきます。

というのも、この対戦という行為、基本的には苦しいのです。おそらく対戦ゲームをプレイされない方には理解されない心境でしょうが、本当に苦しい。数千試合をこなしているにも関わらず、私はいまだにランクマッチを始めるのにやや抵抗があります。
このストレスの種が何かというのは明白で、それは1対1の対人戦という格ゲーの性質上、相手との勝敗が明確に決まることでしょう。
動画勢で業界を眺めているだけではわかりませんでしたが、どうやら実際に「負ける」ということ、それも全責任を自分ただ一人に課した「負け」は、想像以上のストレスをもたらすようです。
私自身はどちらかといえば実生活では競争を避けてきた方の人間なのでなおさらですが、一部のスポーツや武道、そしてボードゲームを除けば、これは現代社会ではなかなか経験できない種類のストレスではないでしょうか。

ただ、そんな苦しみを味わいながら、それでもなぜ対戦に興じてしまうのかというと、その中で得られる「快感」があまりにも大きいからなんですよね。
まず、単純に「勝つ」ということが気持ちいい。勝ちと負けが表裏一体なのは当然ですが、いざその当事者になってみると、目の前の相手に優劣をつけること自体に快感を覚えてしまう、自分という人間の性質を嫌でも突き付けられます。

そしてもう一つは、自分の成長を実感した瞬間の気持ちよさです。個人的には、ひょっとするとこちらの方が「勝ち」より嬉しいかもしれません。
これもまた動画勢時代にはわからなかったことですが、練習したことを実戦で発揮するのは本当に難しい。
例えばコンボや反撃を練習したとして、試合中の相手がどのように動いてくるのかはわかりませんし、想定どおりの状況が訪れるかも当然わからず、そしてそんな状況に至ったとしても、自分が練習どおりに操作できるとは限りません。
そういった諸々の要素が噛み合った末に、練習したコンボや反撃を繰り出せたときの達成感たるや、本当に凄まじいものとなります。
これまでの数千試合の中のいつ頃だったかはもはや覚えていませんが、相手のODサマーをガードして、かねてより練習していたキャンセルラッシュ2回とSA3を交えたフルコンを初めて叩き込んだ瞬間は、いまだに強烈な成功体験として私の脳裏に焼き付いています。

「ランクマッチ」という刹那的な試合の気楽さ

その反面、こんな苦しい娯楽にあらゆる人が耐えられるわけもなく、SNSを眺めていると、ランクマの苦しみを嘆く声が日々見受けられるのが現実でもあります。
そういった場合によく語られるのが、「切磋琢磨できる友達を作るといい」という対処法です。確かに、友人や見知った人との対戦であれば気楽にプレイできますし、ランクマ以外のモードであればポイントの増減もなく、お互いにアドバイスを与え合えるかもしれません。
ですが、私自身はどちらかといえばランクマで見知らぬ人と対戦する方が気楽だと思うタイプの人間です。

というのは、前述のとおり、私は高校生のときに友達と格ゲーをやっていたのですが、楽しさがある一方、結果として表れる勝ち負けにはなかなか考えさせられたものです。
いくら友達同士とはいえ、もちろん対戦ですから、勝ったら嬉しいし、負けたら悔しい。そして、いったん対戦が終われば何事もなかったように普通の関係に戻るものの、勝敗を引きずるような重みが心のどこかに残ります。

当時、私はこの友人との対戦に勝つためにいろいろ考え、練習したりしていましたが、それと同時に、仲の良い友人に向けられる自分の中の闘争心のようなものに、十代の若者なりに戸惑ってもいました。はたしてこれが正常な友人関係なのかと悩みましたし、実際、このときの心境はあまり心地よいものではなかったように思います。
結局、私は大学生になったときに格ゲーを止めることにし、さらには見知った人たちとの競争を避けるようになりました。

それから長い時間が経過しましたが、当時のばつが悪い気持ちは今でも自分の中に残っているようで、(格ゲーに限りませんが)やはりゲームを通じて人間関係を作る気にはまったくなれないのが現状です。
そんな私のような人間にとっては、ランクマッチでの一期一会の対戦が最も気楽に感じられます。もちろん負けると悔しいわけですが、次に巡り合うかもわからない、見知らぬ相手であれば敵意を向けずに済みますし、結果として自己研鑽のみに励むことができます。
(私自身、煽られたり切断されたりしてもまったく気にしませんし。)

操作タイプ「モダン」を使ってみての所感

それでは最後に「モダン」を使ってみての所感をまとめてみたいと思います。
参考までに、私のメインキャラの遍歴はMリュウ(ブロンズ~ダイヤ☆1)⇒Mキャミィ(ゴールド~マスター)となっており、今はクラシック操作とコマ投げの味を知るためにCマノンもプレイしています。

発売当初から良くも悪くも様々な議論がなされているこの「モダン」ですが、やはり初心者ないし私のような復帰勢にとってはとてつもなく強いモードであると断言できます。

まず、対空があまりにも簡単すぎる。上なんか見なくても出てしまうワンボタン昇龍拳は初級者帯で猛威を振るい、ジャンプばかりする、いわゆる「バッタ」のプレイヤーを足切りすることができます。実際、プラチナ帯まではこれだけで到達できるのではないでしょうか。
そして次に強力だと感じたのは、ミスの起こりえないアシストコンボです。正直、私が使用したモダンキャラはアシストコンボがそれほど強くはありませんでしたが、それでも初級者帯ではミスをしないというのが本当に大きく、クラシックの相手には火力差で勝ち切ることが多くありました。
(間違いなく、今作の対戦で最も割を食っているのは「クラシック」で始めてしまった初心者プレイヤーでしょう。)

ただ、上記の強みが通用するのはプラチナ帯の中盤あたりまでで、それ以降はさすがにアシストコンボを超える高火力のコンボやコマンド入力、そして画面端の読み合いの理解が必要になります。
また、「対空が出てしまう」というモダンの特性を利用し、対空技のスカりを狙ってくる相手も増えてきます。私自身、対戦を通じて実感してきたことですが、多くのモダンプレイヤーはめくり飛びや際どい距離でのすかし飛びへの対処が苦手なのではないでしょうか。
そしてマスター帯では、いよいよ技が少ないというモダンの弱点が浮き彫りになります。これのおかげで、細かいところで火力が出せなかったり、反撃できなかったりしますし、なんといってもクラシック相手の地上戦がかなり苦しく感じます(C/M関係なく、私自身がそのレベルに達していないだけではありますが…)。

また、これは私がCマノンを触り始めて痛感したことですが、実際のところ、モダンプレイヤーとクラシックプレイヤーとで比較すると、画面の見え方や状況判断はクラシックプレイヤーの方がはるかに研ぎ澄まされているのではないでしょうか。
やはりクラシックだと上をしっかり見ないと対空は出ませんし、相手をしっかり見てコマンドを作っておかないとパナすこともできません。そういった点で、おそらく多くの試合を重ねる必要はありますが、いわゆる「意識配分」のやりくりはクラシックプレイヤーの方が鍛えられているように思われます。

カプコンから公式で出ているダイヤグラムからは、ランク帯が上がるにつれてモダンキャラの勝率が(相対的に)下がっていく統計的な結果が見られますが、これはその通りだろうなぁと強く実感するところです。
モダンであればある程度まではとても楽に勝ち上がれますが、上を目指すならばクラシックに移行するのが賢明かもしれません。
まとめると、初心者の受け皿の役割を果たしているという意味で、モダンとクラシックは今のところよいバランスが保たれていると言えるのではないでしょうか。

クラシックで始めてしまった初心者の方々はとてつもなく苦労することになりますが、その努力は上に登るにつれて間違いなく報われるでしょう。
そして、ほぼ初心者の状態からモダンを使ってきたプレイヤーである私としては、「補助輪」というと言い過ぎですが、やはりモダンは「電動アシスト自転車」ぐらいの立ち位置かなぁというのが現状の見解です。
いずれにせよ、業界全体が期待していることですが、スト6から始めた純粋モダンのスタープレイヤーの登場が待たれるばかりですね。

おわりに

ただの一般プレイヤーのどうでもいい思い出やら見解やらを書き綴ってきましたが、結局何が言いたいのかというと、このスト6、ひいては格闘ゲームというのはなんと奥深いジャンルであろうか、ということです。
プロプレイヤーの方が言われていたことですが、「これほど感情を揺さぶられる」娯楽は本当に珍しいかもしれません。

私自身はこれからもMキャミィでマスター帯ランクマを続けつつ、他のキャラも触ってみようと思います。また、クラシック/モダンについてもどちらかにこだわることなく、そのキャラで強そうな方を選んでいきます。
(使用キャラによってゲームの見え方がまるっきり変わるのも、格ゲーの面白いところですね。)
まぁ、多くの方々が言われていますが、このジャンルは継続が大切とのことなので、気長に何年間もやっていくことになるでしょう。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
そして、もしどこかで遭遇したら「対戦よろしくお願いします」ということで、本稿の結びとさせていただきます。

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