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秋元真夏さんの炎上を見た、いち当事者の気持ち。



クィアベイティングという言葉を、昨日初めて知った。性的マイノリティに関する活動をしていたら知っておくべき言葉なのかもしれないけれど、最近はもっぱら介護しかしていないので、そういうインプットができていない。


この言葉を知ったのは、乃木坂46の秋元真夏さんが、Instagramに元メンバーの生田さんと式を挙げたと写真を載せ、ハッシュタグでエイプリルフールだと書いたことで、僕のTLは大炎上していたからだ。
結婚できない同性カップルへの配慮がない。想像力がない。異性愛者という立場でネタにしているだけだ。という意見を見かけた。

想像力、かぁ。


お得意の自分語りになってしまうが、僕は高校生の頃mixiというSNSをやっていた。
そこで、文化祭の時に男子に制服を借りて
「男になります〜なーんて笑」という投稿をしたことがある。

当時は周りに、自分が性同一性障害だとカミングアウトはできなかったが、唯一文化祭の日だけ男子の制服を着て過ごした。
吹奏楽部だったもんで、服装には厳しく、もしあの時代にズボンの着用が許されていたとしても、吹奏楽部はダメだったと思う。
それくらい厳しかった。

だから毎日せっせとスカートを履いて過ごしていた。

そんな僕が唯一、男子の制服を着れる日。

嬉しくて、いろんな人に「どう?」って聞いてみたり、写真も好きじゃなかったけど撮った。

嬉しかった。

男子の制服を着れることが。ズボンを履いていいことが。スカートを履かなくていいことが。
少しだけ、男子の気分を味わえた気がして、嬉しかった。

そんな過去。

クィアベイティングとは、実際にはクィアではない人がレズビアンやバイセクシュアルなど、あたかもセクシュアルマイノリティであるかのように匂わすことで、世間の注目を集める手法のことを指す。(引用)


当時カミングアウトしていなかった僕は、周りから見たら性同一性障害の当事者ではなかったけれど、「男になります〜なーんて笑」という投稿をした。

きっと、エイプリルフールには同じように「男になります!(エイプリルフールだけどね)」って投稿したと思う。

当時はそうするしかなかった。
カミングアウトしたくてもできず、誰にも受け入れられない状況の中、文化祭の日だけはどうしても「男」にみられたかった。
嬉しい感情もあったけど、真剣には書けなかった。だってカミングアウトできなかったから。


秋元真夏さんの炎上を見て、
もし、秋元さんが生田さんのことを本気で好きで、アイドルという職業柄誰にもカミングアウト出来なくて、それでも冗談っぽくでもいいから二人の写真を載せたかったのだとしたら。

17歳の僕と、同じことをしているのだとしたら。

僕は何も言えない。
僕も同じことをしたから。

LGBTQ当事者の皆さん、少しだけ想像力を働かせてみて。

カミングアウトできない当事者が、冗談という言葉とセットじゃないと写真を載せられないこともあるということを。

真夏さんがそうじゃなかったとしても、この叩かれ方は、多くのカミングアウトできない当事者を傷つける。カミングアウトしなきゃ生きていけないのだという現実を突きつけられる。
やっぱりLGBT界隈は、
カミングアウト至上主義なんだ。と感じてしまう。

もう一度よく考えてみてほしい。

自分ではない、当事者のことを。

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