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トランスジェンダーの僕が考える『同性介護』の話。

「佐藤さんは、同性介護についてどう思いますか?」

トランスジェンダーの僕が、介護関係の講演に呼ばれると100発100中この質問をされる。
それもそうだ。他人から見たら「あなたにとって同性ってどっちなの!?」と思うだろう。


僕は2020年の3月まで戸籍上の性別が《女性》だったが、幼い頃から性自認はずっと《男性》だった。
治療を始めた2011年頃の見た目や周りの認識は《女性》だったのが、声が低くなり胸を取ってからは周りには《男性》と認識されることが増えたし、公衆浴場や外出先のトイレでは《男性》の方を利用していた。
2018年くらいには、周りからは完全に《男性》と認識されるようになったが、たまに勘のいい人には《女性》だとバレることもあった。
ちなみに戸籍の性別が変わったとて未だに下半身だけ見たら完全に《女性》である。焼死体になったら多分女性だ(えぐい)

つまり、

性自認は男性だけど、世間的な認識は女性→女性だか男性だかわからない人→見た目男性だけど戸籍だけ女性→戸籍も周りからの認識も男性。という流れの中で生きてきた。

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この状態の僕にとっての「同性」を、いつ誰がどう判断するのだろうか。上司か?施設長か?リーダーか?

僕がいつも思うのは「利用者さんがこの人がいいと思うならそれでいい」だ。

僕がいくら「自分は男性だ」と言い張ったって利用者さんが僕を《女性》だと認識したらそれはそれ。男ですよ〜と言い続けてダメなら仕方ない。
逆に、治療して声が少し低くなっただけで「お兄ちゃん」と呼んでくれた利用者さんにとって、戸籍の性別は関係なく目の前にいる僕は《男性》なのだろう。

当事者にとっては酷な話かもしれないが、結局「介護」を受け入れるのは利用者さんであり、その人にケアされたいか否かを性別も含めて判断するのは僕でも、上司でも、ケアマネでもない。利用者さん自身だ。

利用者さんが安心できれば、それが一番なのだ。


今、僕はいくつかの現場で女性の利用者さんのケアに入っているし、戸籍変更前に男性のケアに入っていたこともあるが、どの現場でも性別に関して何も言われたことはない。
多分気にする方は気にするんだろうし、気にしない方は気にしない。

自分の会社の社員にも「同性介護が基本と言われる中で、あなたにケアしてもらうことで安心するか否かを決めるのは利用者さん。会社にいることと現場に出ることは違うからね。」と言っている。

介護は「受ける側」主体だ。僕らが「同性・異性」で判断するものではない。

追記

利用者さんの家で云々と、会社での性別の扱いは違います。会社は本人の性自認を尊重しますし、別に僕は社員の性別を判断してるわけじゃないです。

未治療でも「男性として働きたい」というなら、話し合いをして、どのお宅にに派遣するかを決めています。

そこちゃんとしてる←


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