秋に書いた短歌、26首
11/14
不惑なる首のたるみし中年がブランコ漕ぎぬ秋の公園
パトカーが不審がらぬは不審なりブランコを漕ぐ中年の秋
メモ帳に短き歌を書きををり揺れるブランコ揺れるペン先
愛の果て秋の果てなるブランコに一人淋しく書ける楽しさ
雨よ降れ止みにし雨よもっと降れ不敵な笑みを吾にもたらせ
交通の標語の添削せし吾に雨降りくればほどく緊張
雨宿りせし病院のベンチにて緊張求め開くメモ帳
秋来れば散れるものとは知りながら夏の輝き川面への恋
ぬばたまの夜の時代の底に咲く淡き一房雨にも香る
「でも買わない」自販機の前唾を飲み一瞥したる淡きプライド
「じゃあまたね」自販機応う悲しみにチロリと情の炎燃えたり
限りなく書ける短き歌どもを皆愛おしと思う秋かも
この辺で止めてやるかと息巻いてインクと紙の消費も止めり
11/20
いらつきもむかつきも無き午後にいてかつての日々の約束思う
約束など守れるものか守れないこの出鱈目な僕と世界に
花束を枯れた心と花束を約束解きて宙にバラ撒く
離れ離れいつもいつもいつも虹も川面も君の笑顔も
たわいなき約束ですらない本を見つけて読むと決めた秋の日
11/21
電柱に止まるカラスが猫のごと足で首掻く秋の公園
うら若き汝が古びて年召せばよりカワイイと思う今日かも
想像の恋人作り喧嘩するそんなヒマなどないよ良かった
あしびきの山ガラスにも恋はあるのどかな声に秋の物思い
「カワイイ」を求める言の葉の裏に微笑むことの夏は去りけり
蝸牛花を背負いたる雨の園カワイイ上に汝はカワイイ
カワイイが降りし時雨の季は過ぎて今は一人で雪の花待つ
汝を恋うそんな吾ではなけれども今思うのは汝の幸い
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