見出し画像

20220704

前の大阪の家は、ずいぶんとゴミ出しが適当だった。ペットボトルと缶だけ別にしておけばあとはまとめて指定の場所に出してよい、とのことだった。曜日の指定等一切無し。ダンボールは晴れた日に壁にもたせかけておけば数日後にはなくなっている。種類問わず適当にゴミ袋が満杯になったタイミングで出していた。時折トラックが寂れたテーマパークを思わせる、若干割れた音をスピーカーから発しながら街路をうろついたが、あれがゴミ収集車だったのだろう、どの曜日にそれが走っていたのか、全く知らない。インフラというものの一つの正解のような気がしている。

今年の4月中頃から東京に越してきている。これまでの人生で味わうことなかったレベルで、家屋がひしめき合っている中で暮らしている。家から出て少し歩くとすぐに踏切に出くわす。大阪の住居とは大きく勝手が番う。インターネットは有料で自分で契約する必要があった。フリースペースだった駐輪場は場所が全て決められており、俺の自転車は3番に止めなければならない。そしてゴミ出しだった。仲介業者が紙を見せながら「可燃ゴミは水土、不燃は第1と第3の火、資源ゴミは月だけどペットボトル、缶、ビン、紙、段ボールなど種類があって紙と段ボールはビニール紐で縛って……」と捲し立ててきたことを未だに覚えている。いや、そんなん無理では……と新生活への降伏の言葉が出そうになるのを抑えていた。「前日の夜に出すと迷惑になるので当日の朝に8時までの時間で出してください」とも言われ、何とも参っていた。今にして思えばこんなん当たり前なのだが。

引っ越してから初めのうちはきちんと曜日通りにゴミを毎回出していた。資源ゴミなどもできるだけ貯めないようにしていたし、ビンは1本でも袋に入れて出す。紙、段ボールはある程度貯まってからでないとそもそも縛れないので例外であったが。毎度昼前まで寝ていたような土曜日の朝にもきちんとアラームを7時半にセットして、ゴミを出してから昼前まで寝ていた。そのアルゴリズムが崩れていったのは、土曜の午前4時くらいにトイレに目が覚めたせいだったと思う。夜なのか朝なのかよく分からない時間に目が覚めてしまったせいで、このままゴミを出して昼前まで眠り込んでも良いのか、朝とはっきり呼べる時間まで待ってからゴミを出すべきなのか悩む羽目になった。外はまだ暗い、試しに外に出てゴミ置き場を覗いてみるとまだ誰のものも出されていなかった。まあそれはそうか……、と家に戻って床に入る。アラームはセットされているのでまた7時半に起きればいいさ、と思って眠った。起きたのは昼前だった。

きちんと続けていたものが崩壊するのは一瞬で、その日以来特に週2で訪れる可燃ゴミについてはアバウトになった。というより、元に戻った、といったほうがいい。ゴミ袋が満杯になったら、次の指定日の朝に出しておけばいいのだ。このゴミ袋が満杯になる、というタイミングが絶妙に指定日からズレている。日曜や月曜の夜、ひどいときは指定日の夜に満杯になる。そんなわけで今日も玄関脇にゴミが満載の袋が安置されている。虫はまだ湧いてこない。虫コナーズのおかげだろうか。今はただ、ゴミの周期が指定日に重なってくるのを待っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?