帰省バスの記憶20211227

雪が降る
雪が服にへばりつく
雪が綺麗なのは外面だけらしい
初めて着る服なのに

バスに乗る
乗り場を間違えて頭を下げる
家を出てすぐに手袋を失くした
不運は重なる

席につく
思っていたより狭い
隣の人の体が大きいからか
息がうまくできない

目の奥に激痛
またこれかと思う
窓側の座席で助かった
気が紛れる

シートを倒す
上着を脱ぐ
荷物を棚に置く
勇気などない

最終目的地まで9時間
渋滞でもう少しかかるかも
次のSAまで3時間
寝息が聞こえる

シワのつきそうなシャツ
1リットルのペットボトル
パーマ液の匂い
吐き気をこらえる

映画を観る
前日にいくつかダウンロードした
映画があってよかった
明るい映画にしよう

車窓に頭を寄せる
振動でグチャグチャになる
雪が溶けて頬を伝う
このバスはおれだ

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