時空のどこかから届く


今日は佐冬が唐突に語り出した。


そのあと家事をしながら突然泣き出して
膝から崩れ落ちていた。

30年も前の、当時の自分への気持ちが溢れたみたい。

その気持ちをあえて言葉にするならば

『あなたに、幸せでいてほしい。』

あなた っていうのは
当時の自分だったり
いま高校生な誰かだったり

閉ざされた場所で立ち往生しているあなたのこと。

実際には閉ざされてなんていないけれど
でも、そういう風にしか見えない場所で
もがくこともできないでいるあなたのこと。


いまが最高に幸せだなんて言わない。言えない。

でもあの頃よりはずいぶんひろいところにいる。


時間って、過去ーいまー未来の順番に
積み重なってるものじゃなくて
粒子みたいにいつも入り組んでいる

あの頃があるから今があるわけじゃない

それでも、あの頃がんばってたのは確かで
そのがんばりを、心底、応援したくなった


こういう応援がいつだって
時空のどこかから届くから

あたしは今日も
食べて、寝て、生きてるのかもね




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