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「壊れやすいものだから」

ずっと心に残っている言葉。

人は皆、繊細で壊れやすいものだから。強い、弱い、ではなく「壊れやすい」だけ。だから大事に。自分を大事大事に。 ―「COCCO CHAnNEL

まる裸で傷だらけで血まみれ。せめて服を着るとか、靴を履くとか、武器をもつとか。そんなに痛そうなのに辛そうなのに、なぜ立ち続けられるのだろうと思うひとに出会うことがある。

壊れてしまうという事に、憧れに近い感情を抱いている。しかし、私はダメになりたくない。しっかりしているひとだと思われたい。恥ずかしい情けないやつだと思われたくない。見放されたくない。嫌だ!こわい!と強く強く思っていた。

壊れてしまったこのとある友人が何人かいる。その一人に「きっと、どん底見ない代わりに、本当にも出会えないよ」と言われた事がある。私が自分を守るため鎧を纏い抱え切れないほどの武器を持ち、動くことさえできなくなっているのをちゃんとわかっていてくれたから。

あるとき延命措置のような暮らしの中、思い切って人工呼吸機を外してみることにした。死ななかった。自発呼吸が出来るばかりか、大きな機械や管から開放された。自由だった。それからしばらくして、南の島であるひとに出逢う。自分の傷を晒し苦しさを叫びながら、そういう生き方しか出来ないひと。そうでなければ自分が死んでしまうのだと話してくれた。衝撃だった。こんなに自分に、自分の欲望に正直に生きて、時には欲望に呑まれてしまったとしても、ちゃんと赦されて愛されている事を知っているひとだった。

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この後もたくさんの人と出逢い、誰もがちゃんと自分の『本当』を持っているのだと思った。ひとりでは見つけにくいのかもしれない。ひとと出逢い交わり、いろんな気持ちになり気付くのかもしれない。私も私の『本当』に殉じたい。と思った。きっとそれが自分を大事にするということではないだろうかと感じている。もし、壊れてしまったとしても、ダメになったとしても、それでも大丈夫だと今は思えている。


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